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沖縄への辺野古新基地建設、オスプレイ配備許さず、反基地・平和に向けた全国的な運動を展開しよう

「解放新聞」(2014.12.15-2695)

 11月16日に投開票が実施された沖縄県知事選挙は、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設反対を掲げた前那覇市長の翁長雄志さんが、政府とともに移設をすすめる現職らを破り当選した。しかも約10万票の大差をつけた勝利だった。また、同日に実施された那覇市長選挙でも翁長さんの後継として立候補した城間幹子さんが、自民、公明などが推薦した前副知事に4万3千票余の大差をつけ圧勝した。米軍基地の辺野古移設を強行しようとしている政府に、沖縄県民は「NO」をつきつけた。
  マスコミの世論調査では、米軍基地の県外・国外移設、無条件閉鎖・撤去を求める意見は73.8%にのぼり、普天間の移設先については、自民党支持者でも県内移設反対が50%をこえ、公明党支持者も県内移設反対が78%との結果だった。沖縄県民全体が、辺野古移設に反対し、在日米軍専用施設の74%が集中する沖縄にあらたな米軍基地の強権的な押しつけを許さない民意が示された。
  1995年、沖縄で3人の米兵による少女暴行事件が発生し、基地縮小を求める声が高まり、1996年に日米で普天間基地の撤去などが合意された。移設先候補として辺野古が浮上したが、基地負担の軽減を求める沖縄県民の多くは、県内移転反対を訴え続けてきた。沖縄の米軍基地のほとんどは、戦争末期に米軍が強引に奪った土地で造ったものであり、普天間基地は、市街地の中心にあり、現在でも住民は日常的に米軍機墜落の危険と爆音などの被害にさらされている。また、日米地位協定によって、米兵が女性暴行などの罪を犯してもほとんど逮捕されない状況が続いている。日米地位協定は、米兵を守るためのものであり、沖縄県民の人権を侵害している。政府は、辺野古移設の是非を最大の争点として知事選で示された民意を真撃にうけ止め、辺野古移設を断念するべきだ。
  しかし、政府は、選挙結果にかかわらず、辺野古移設をすすめると明言しており、これ以上、沖縄の尊厳と誇りを傷つけることは許されない。政府に米軍基地の県外・国外移設、無条件閉鎖・撤去を求める声を、全国的に拡げるとりくみを展開しよう。

 2013年1月に、沖縄の41全市町村の首長、議会議長、県議など144人が安倍総理大臣宛にオスプレイの沖縄配備の即時撤回などを要求した「建白書」を提出した。沖縄からこれだけ大規模な要請団が上京したのは1972年の本土復帰いらいはじめてであり、沖縄の超党派によるすべての自治体が足並みをそろえたのは、基地をなくすどころか危険なオスプレイを県民に押しつけている政府への怒りがいかに大きいかを示している。日米両政府は、墜落事故が多発し、危険性が指摘されているオスプレイを沖縄に強行配備した。10万余の県民が結集して配備反対の県民大会があったにもかかわらず、配備を強行したやり方は許せない。さらに、オスプレイが配備されてから2か月間で、飛行ルールに違反する無法な飛行は318件を数え、住宅密集地でくり返される危険な飛行は、県民を不安にさせ、危険にさらしている。


 安倍首相は、通常国会の施政方針演説で、在日米軍再編にふれるなかで「沖縄の方がたの気持ちに寄り添いながら「できることはすべておこなう」との姿勢でとりくむ」と決意をのべた。しかし、「沖縄の思い」「保革超えた歴史的文書」である「建白書」を不当に軽くあつかい、杓子定規に押しとおそうとしている。憲法は、国民が文書で要望を出す「請願権」を認めており、官公庁にその要望を誠実に処理する義務を負わせて、請願者が差別待遇をうけないよう定めている。だが、政府は「住所や居所の未記載」をあげ、「請願法にもとづく請願書として受理したものではない」とし、来年3月には廃棄される予定だ。
  不誠実きわまりない対応であり、到底容認できない。建白書は「米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人にふる舞っている。国民主権国家日本のあり方が問われている」と日本と沖縄の関係を問い返している。
  これ以上の沖縄の基地負担を許さず、米軍基地の強化・拡大に反対する全国的な世論を構築し、憲法改悪阻止と憲法の理念を実現する、平和と人権の確立に向けた全国的な運動を展開しよう。

解説 基地の島沖縄

 沖縄県知事公室基地対策課が作成している「沖縄の米軍基地の現状と課題」を参考に、米軍の基地問題を紹介する。

 日本全国には米軍の訓練区域が75あるが、このうち48が沖縄に集中して64%をしめる。また、沖縄本島では面積の18.4%が米軍基地。米軍専用施設面積でみると全国の73.9%と大半を沖縄がしめ、極端な割合となっている。
  オスプレイの配備で話題になった宜野湾市の普天間飛行場は、周辺に小学校10校、中学校5校、高校4校、大学1校がある文教地区。住宅も密集して「世界一危険な基地」といわれており、2004年8月には沖縄国際大学に軍用機ヘリが墜落事故をおこしている。
  また、飛行機事故では2008年10月にも、米空軍の福利厚生機関に所属するセスナ機が名護市の住宅や学校に隣接する畑に墜落。
  このほか、基地に関連する米軍の事件・事故は、数多く発生している。沖縄が日本に復帰した1972年から2010年までの38年間で演習などに関連する事件・事故に限ってみても1545件で、年間に41件発生している。
  犯罪検挙件数でみると5705件。このうち10%をしめる564件は殺人・強盗・強姦などの凶悪犯で、1995年9月には海兵隊員3人が小学生の少女を暴行するという凶悪事件がおきた。8万5000人が参加する大規模な抗議集会がひらかれるとともに、米軍基地の整理・縮小や、日米地位協定の見直しを強く求めるきっかけとなった。反基地感情の高まりに10月には日米地位協定の運用改善がはかられた。これまで日本側の捜査当局が被疑者の身柄を拘束して取り調べることができなかったが、米国側が「考慮を払う」ことで日米政府が合意した。
  だが、沖縄県では、1960年に締結された日米地位協定が、一度も改正されていないままの状況を問題として、11項目の見直しを要請している。「犯罪を犯しても「地位協定」に守られるといういわゆる「特権意識」をもたせてしまっているとはいえないでしょうか」と日米地位協定に疑問を投げかけている。


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