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コラム
今週の1冊 第2711号/15.04.20

福島原発、裁かれないでいいのか

古川元晴・船山泰範 著  朝日新聞出版(定価720円)

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 敗戦70年目。4月には、天皇・皇后のパラオ「慰霊」訪問や秋篠宮の子の大学入学をメディアが報じた。
  パラオで天皇は、戦死を美化する「玉砕」の言葉を使い「悲しい歴史」と他人事の談話を発しただけ。謝罪はもちろん歴史認識も語れないのにメディア報道は賛美一色だ。
  秋篠宮の子には「生まれつきのプリンセスゆえの…」などと「魅力」解説をし、全国に潜む埋み火のような差別意識を一気に煽りたてた。
  安倍政権と響きあい、新たな戦争の時代へとメディアが民衆の意識を慣らしているかのようだ。とくに皇室を侵略戦争、植民地支配の史実隠しにフル活用。敗戦後の日本が戦争責任を人間の尊厳の視点から徹底解明せず、天皇制を抱く無責任体制を築きあげた弊害が露骨に見える。
  さて、本書は、「第二の敗戦」と称される空前の人災、福島原発事故に刑事責任の視点から迫るもの。事故後4年もたつのに事故の全容や責任の解明も、被害者救済もまるでできずに再稼働・輸出の過ちへ向かうメカニズムは、日本がふたたび戦争の道を歩むメカニズムと根源的に重なって見える。「危倶感説」という考え方、人格権の重要性、事故防止と科学者の役割、組織の管理者の責任など、示唆に富む。(RaSPI)

 


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