人は人を差別するときの顔がもっとも醜い
カワサキ・キッド
東山紀之 著 朝日文庫 定価660円
アイドル・グループ少年隊のメンバーだった東山紀之。NHK大河ドラマ「琉球の風」(1993年)で主演するなど俳優として活躍している。その彼の自伝的エッセイ『カワサキ・キッド』が文庫版になり、ファンだけでなく、ヘイトクライム(差別犯罪)に反対するとりくみをしている人たちからも注目されている。
タイトルの『カワサキ・キッド』は、彼の出身地・神奈川県川崎市を人生の原点としてとらえなおしたものだ。そこにはコリアンタウンがあった。貪しかった家庭に育ち、いつもすきっ腹だった彼は、在日コリアンの家庭で豚足とトック(おもち)をごちそうになっていた。そしてまた原点に立った役は、父方の祖父のことも思う。白系ロシア人だった祖父が、なぜ日本にわたってきたのか。祖父の祖国ロシアに「いつか必ず行ってみたい」と思いをめぐらす。かつてのアイドルも、いまや40代後半。ジャニーズ事務所のなかでは中堅どころ。家庭では2児の父親であり、人生をふり返る時期なのだろう。
そんな彼がいう。「人は人を差別するときの顔が最も醜いと僕は思っている。大人として、それは子どもたちに教えなければならないと思う」。力強いメッセージだ。(土)
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