21編の論考で戦争論を読み解く1冊
戦争はどのように語られてきたか
河出書房新社編集部編 河出書房 定価1900円
「戦争は常態である」という認識が、ようやく広まってきた。そうしたなかで編まれた選集(アンソロジー)がこれだ。敗戦前後のアジア太平洋戦争についての論考が21編収められている。どこから読むかを迷う読者は、まず、「第三の戦争を発明するために」という友常勉の解題から読みすすむのがいい。21編について読みどころが書かれており、興味を持ったところから手にとって読めばいいからだ。
最初にあるのがコミンテルンの32年テーゼ。侵略を内乱に、天皇制打倒を主張するこのテーゼは、せいぜい5、6万人の党員やシンパしかなく、しかも社民派排除のもとでなしえることは不可能だった。この天皇制が、運動にとっても躓きの石となったのだ。敗戦直後の中野重治の「日本が負けたことの意義」は、「われわれ国民は、自分で自分を解放することができなかった」として米軍を解放軍としてしまう。これは転倒だ。「もう軍備はいらない」で坂口安吾は、「いけないのは、原子爆弾ではなくて、戦争なんだ」とし「人に無理強いされた憲法だと云うが、拙者は戦争はいたしません、というのはこの一条に限って全く世界一の憲法さ」と書く。
戦争論を読み解く1冊。 (A)
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