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証拠物のリスト開示ふまえ、事実調べ・再審開始へいっそう運動を強めよう

「解放新聞」(2015.02.23-2704)

5.21狭山市民集会に向けてアピール行動支援・上映運動を
  狭山第3次再審で、狭山弁護団が長年開示を求めてきた証拠物のリストが1月22日、ついに開示された。このリストは、すでに裁判所に提出されたり、開示済みのものもふくめて、東京高検にある279点のすべての証拠物の名前と数量が記載されている。そのなかには石川さんが書いた可能性のあるものなどこれまで検察が存在を明らかにしていなかった証拠もふくまれており、その数は44点におよぶ。弁護団は今後、内容を精査して証拠物そのものの開示を求めていく方針だが、第3次再審はこの開示で大きく一歩前進した。2010年の証拠開示についで、再審無罪に向けて二つ目のハードルをのりこえたといっていいだろう。

 足かけ9年におよぶ狭山第3次再審にとって、証拠物のリストの開示は、大きな焦点だった。というのは再審開始の条件が新証拠の提出にあることから、弁護団は証拠の開示を強く検察に求めてきたが、検察側はこれをかたくなに拒否し、何があるのかわからないのに、「何を開示してほしいのか指定してくれ」とひらき直ってきた。このため証拠開示は容易にすすまなかった。しかし、2009年の門野博裁判長の証拠の開示勧告によって裁判は大きく前進した。すでに164点が開示され、弁護団はその内の重要な証拠を、無実を示す新証拠として裁判所に提出した。けれども弁護団の全証拠の開示請求にたいして、検察はあくまでも部分的な開示しかおこなわず、いぜんとして何が証拠物としてあるのかが不明であったため、証拠物のリストの開示が焦点となっていた。そして今回、そのリストが開示された。
  今回の証拠物のリスト開示は、高検が保管するすべての証拠物の内容を明らかにしたという意味で、また証拠隠しを続けてきた検察の牙城の一角を崩したという意味で、弁護団および支援運動の粘り強い闘いの成果とよべるだろう。


 開示されたリストには、これまで検察が存在を明らかにしていなかった44点の証拠物がふくまれている。なかでも弁護団が関心をもつのは、石川さんが書いた可能性のあるものがふくまれている点だ。第3次再審では証拠開示で、逮捕された当日に、狭山警察署長宛に書かれた上申書で明らかになった石川さんの筆跡は、脅迫状とはまったく異なっている。今回リストのなかの証拠品に石川さんの書いたものがあれば、その筆跡も、脅迫状の文字と違っているはずだ。証拠物の開示でさらに筆跡の違いが鮮明になる。検察官はすみやかにすべての証拠物を開示すべきだ。
  しかし、証拠がすべて開示されたわけではない。またリストの一覧のなかには、内容が不明のものもある。東京高検に保管されている以外の証拠物が存在する可能性もあり、また捜査報告書や供述調書などの捜査書類は開示されていない。これらのすべてが開示されなければ、全証拠の開示とはよべない。このため弁護団は1月23日の3者協議で、検察官にリストの不明な点について説明を求めるとともに、今後、一覧表で明らかになった未開示の44点の証拠物について、具体的な必要性を示し、開示勧告を求める申し立てをおこなうと裁判所に伝えた。検察官は積極的に証拠開示におうじるべきだ。

 狭山第3次再審闘争は、いよいよ山場をむかえた。1月27日の全国狭山活動者会議・狭山住民の会全国交流会では、リスト開示を再審闘争の大きな前進と確認し、今年こそ事実調べ再審開始の年にしようと誓い合った。そして、当面は、5月21日に東京・日比谷野音でひらく「5.21狭山事件の再審を求める市民集会」に向けて全国でとりくみをすすめることを確認した。また、東京高裁前の石川さんのアピール行動を支援し、映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映運動を引き続き全国ですすめることを確認した。
  今回の証拠物のリストの開示は、再審開始への大きな一歩だ。次回の第22回3者協議は3月下旬におこなわれることになったが、このリスト開示をバネにして、徹底した証拠開示を実現し、いよいよ事実調べ・再審開始をかちとろう。「すべての証拠物をすみやかに開示せよ」「捜査書類をふくめた全証拠のリストを開示せよ」という世論を大きくしよう。


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