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統一自治体選挙に勝利し、戦争と差別に反対する政治の流れを創り出そう

「解放新聞」(2015.03.23-2708)

 今日、安倍政権は「1強多弱」の政治情況のなか、「特定秘密保護法」の施行や集団的自衛権容認の閣議決定にもとづいた安全保障法制に関連して、「周辺事態法」や「国際平和維持活動(PKO)協力法」改悪とともに、自衛隊の海外派兵を可能にする恒久法の制定など、まさに「戦争をする国」づくりをおしすすめている。「周辺事能法」改悪では、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」になれば、自衛隊による他国軍支援を可能にする内容。これまでは、日本の周辺での有事にたいする米国軍支援に限定されていた自衛隊の出動が、世界中のあらゆる場所に、オーストラリア軍など米国軍以外の支援も可能になるというものだ。
  自衛隊海外派兵を随時可能にする恒久法の制定では、「国際社会の平和と安全に積極的に寄与する」として、「切れ目のない安全保障法制」の必要性を強調している。「経済は国の存立の基盤」(中谷防衛大臣)として、直接的な有事がない場合でも、政府の恣意的な判断で後方支援とはいえ、「戦闘地域」への自衛隊を海外派兵するものである。また、海外での日本人救出に関連して、奪還作戦を想定した「自衛隊法」の改悪もすすめようとしている。
  さらに「PKO協力法」についても、PKO以外の国際協力活動に自衛隊を派兵することができるようにするが、武器使用の基準を拡大し、自衛隊員が危険な任務に就くにもかかわらず、その判断も政府が恣意的におこない、これまでのような目的と期間を限定した特別法も必要なくなる。いずれも政府の恣意的な裁量が最大限認められる改悪案である。

 こうした一連の安全保障法制の改悪は、まさに集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐる解釈改憲とそれに連なる憲法改悪策動と一体のものである。それは、安倍政権がめざす「戦後レジーム(体制)からの脱却」であり、戦前回帰の反人権主義、国権主義の政治そのものである。昨年末の衆議院総選挙でも、アベノミクスの破綻を隠し、解散前の議席をほぼ維持した安倍政権は、本格的な憲法改悪の動きを強めている。
  沖縄県の辺野古新基地建設では、普天間からの辺野古移設反対を掲げて当選し、公約を守るために奮闘している翁長知事にたいして、中谷防衛大臣は「工事を阻止するとしかいっていない。沖縄県のことや国の安全保障をふまえて考えていただきたい」と批判した。沖縄県民の声を無視して、海底ボーリング調査を再開した安倍政権と防衛省沖縄防衛局こそ、民主主義の破壊者である。しかも、来年度予算の要請に訪れた翁島知事との面談は拒否し、沖縄振興費を削減した。
  また、社会保障費の削減とともに、労働法制の改悪がすすめられている。派遣労働者のうけいれ期間の制限を実質的に撤廃する「労働者派遣法」や「残業代ゼロ」がもり込まれている「労働基準法」などの改悪案である。まさに、いのちと生活を犠牲にして、防衛費を増大させ、「戦争をする国」づくりを強行しているのが安倍政権である。


 こうした安倍政権による反人権主義、国権主義の政治に抗して、人権・平和、民主主義の確立をすすめる政治勢力の結集が必要である。4月に実施される統一自治体選挙は、地域での部落解放・人権政策推進に向けた重要な闘いとなる。組織内候補はもちろんのこと推薦候補の当選をかちとり、戦争と差別に反対する政治の流れを大きく創り出そう。
  3月に開催した第72回全国大会でも、敗戦・被爆70年、「同和対策審議会」答申50年という大きな節目の年にあたりあらためて同和行政の推進、人権行政の確立をめざす全国大行動の提起があった。また、ヘイトスピーチなどの差別煽動にたいするとりくみでも多くの代議員から発言があった。すでに、奈良県、福岡県、京都府をはじめ堺市、さいたま市など多くの自治体でヘイトスピーチの禁止に向けた法整備を求める議会決議(意見書)が採択されている。こうした動きは、自治体議員と地域の運動によってすすめられている。また、全国で530以上の自治体で本人通知制度が導入されているが、このとりくみでも、自治体議員が大きな役割をはたしている。
  今後の部落解放運動の前進、人権政策の確立にとって、自治体議員の役割はますます重要である。人権や平和の課題、福祉や教育の要求を地域のなかで実現するためにも、統一自治体選挙の闘いを全力でとりくみ、安倍政権の暴走を止める政治勢力の結集をめざそう。


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