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日本国憲法の精神を確認し、憲法違反の戦争への法整備阻止のため闘い抜こう

「解放新聞」(2015.04.27-2712)

 安倍政権は、憲法違反の閣議決定にもとづき、日米ガイドライン改定や戦争関連法案上程を画策し、「戦争をする国」づくりを強引にすすめようとしている。そして、沖縄県の辺野古への基地建設、歴史認識の改ざん、貧困と格差の拡大、原発再稼働など、人びとの人権と生活をふみにじる動きを強めている。さらに、来年夏の参議院選挙に合わせて憲法改悪の国民投票へとなだれ込もうとする可能性すらある。日本は、まさに、憲法と平和と民主主義の戦後最大の危機に直面している。
  今年は、敗戦70年をむかえる。安倍首相が今夏に発表する戦後70年談話に関する有識者会議「21世紀構想懇談会」の初会合が2月にひらかれ、五つの論点が示された。「植民地支配と侵略」「心からのおわび」などを明記した村山談話と小泉談話を「全体として受け継ぐ」と表明しているものの、「未来志向」の戦後70年談話とし、「植民地支配」や「侵略」を謝罪した村山談話の文言をそのまま使用しない考えを表明している。しかし、米国国務省報道官は「村山・河野談話が示した謝罪が、近隣諸国との関係を改善するための重要な区切りだったというのがわれわれの見解だ」と指摘した。村山・河野談話の改悪を許さず、歴史認識の確立、戦後補償、東アジアでの平和確立のとりくみが喫緊の課題だ。
  本年3月20日、自民、公明党は、自衛隊や国連平和維持活動(PKO)にかかわるあらたな安全保障法制の基本方針について正式に合意した。合意した安全保障法制の基本方針どおりに、関連法案が成立すれば、日本に「明白な危険」があり、「他に手段がない」と政権が判断すれば、集団的自衛権による武力行使ができ、なおかつ、周辺事態法の改悪で、日本周辺に限らず、遠く離れた場所へも自衛隊派遣が可能になる。また、自衛隊が戦争中の他国軍にいつでも後方支援できるよう恒久法を制定し物資補給や人員輸送、弾薬の提供も可能になる。
  問題の根源は、憲法9条のもとで、昨年7月、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めるとともに他国軍への後方支援を拡大した閣議決定だ。まさに、憲法違反であり、日本が歩んできた平和国家の道を大きくふみ外す危険極まりない内容となっている。米軍の負担を自衛隊が肩代わりする際限のない拡大志向であり、他国への武力攻撃にたいして自衛隊が武力で反撃でき、世界規模で派遣拡大に道をひらくことになる。しかも、いくら後方支援を強調しても自衛隊の活動は米軍と一体とみなされ、弾薬の提供などにふみ込めば、他国の戦争に巻き込まれるリスクは高まる。70年間紡いできた平和憲法を一内閣の閣議決定で解釈を変更し、「積極的平和主義」の名のもとに、こうしたことをおこなおうとしている。集団的自衛権の行使容認を断じて許してはならない。

 安倍首相は、国会答弁で自衛隊を「我が軍」とよび、「抑止力」によって「国民の命と幸せな暮らしを守っていく」と強調した。また、安全保障法制整備にたいする批判を念頭に、「行動を起こせば、批判にさらされる。過去も「日本が戦争に巻き込まれる」といった、ただ不安をあおろうとする無責任な言説がくり返されてきた。批判が荒唐無稽であったことは、この70年の歴史が証明している」と主張している。
  12年前におこったイラク戦争では、「大量破壊兵器」が見つからず、米国情報をうのみにして追従したと批判された。また、昨今のテロ行為については、決して許されるものではないが、暴力は暴力の連鎖しか生み出さない。ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんは、「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが、世界を変える」「私を撃ったタリバン兵さえ憎んでいない。タリバンの子もふくめ、すべての子に教育を」と語った。平和や国民の幸せな暮らしを守っていくには、対話や教育、福祉が重要だ。
  憲法9条には「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明記されている。この崇高な理念を一内閣の「閣議決定」だけで、変更しようとしているのである。日本の自衛隊は米軍の軍事戦略のもと中東から東アジア
まで「武力行使・戦争する軍隊」になろうとしており、まさに憲法の破壊といえる。こうした行為を絶対に許さず、広範囲な国民運動で阻止しなければならない。


 今年の5月3日には、こうした緊迫した情勢をふまえ、平和フォーラムと「5.3憲法集会実行委員会」が、例年、5月3日にそれぞれ開催してきた憲法集会を、今回は共同し、「平和といのちと人権を!5.3憲法集会~戦争・原発・貧困・差別を許さない~」としておこなうことになった。これは、戦争・原発・貧困・差別といった課題にとりくむ諸団体・個人の総結集をかちとり、これからの戦争法制定阻止など安倍政権の暴走阻止につなげていこうとするものだ。
  都府県連は、各地でおこなわれる憲法集会と「戦争をさせない1000人葦貝会」のとりくみに積極的に参加し、安倍政権の憲法破壊の攻撃と対決し、日本国憲法の精神を確認し、憲法違反の戦争への法整備を阻止するために闘い抜こう。


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