男女平等社会の実現へ、部落女性の力を総結集し第60回全女を成功させよう
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本年は、女性差別撤廃条約批准から30年、「同和対策審議会」答申50年、敗戦・被爆70年という大きな節目の年である。5月16、17日、広島県福山市で部落解放第60回全国女性集会(広島全女)を800人規模でひらく。すでに、広島県連女性部を中心に実行委員会が結成され、集会成功に向けたとりくみがすすめられている。
敗戦から70年、日本の経済は大きく発展してきたが、東日本大震災は、私たちの社会や生活のありようを根底から問い直すものであった。多くの犠牲を出した大震災からすでに4年が経過しているが、復興支援がすすまないうえに、原発事故による放射能汚染問題もあり、いまだに多くの人たちが、ふるさとに戻れずに仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされている。今後も復興支援のとりくみを強め、差別のない安心・安全な社会づくりに向けて、協働したとりくみをすすめていかなければならない。
今年はまた、「部落地名総鑑」差別事件発覚から40年である。差別事件の今日的な実態を社会に広く明らかにし、再発防止に向けた制度改革につなげていくことが差別糾弾闘争の重要な課題だ。いまだに結婚や身元調査に利用される戸籍・住民票等個人情報大量不正取得事件や土地差別調査事件、差別投書など悪質な差別事件、インターネット版「部落地名総鑑」やインターネット上の差別情報の氾濫など、こうした一つひとつの差別事件について、原因や背景、差別意識のあらわれ方を正確に分析し、社会システムの変革と豊かな人間関係の実現をめざした差別糾弾闘争の強化につなげていかなければならない。
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男女平等は憲法にも定められている大切なことだが、現実には女性にたいする差別が厳然と存在している。男女平等の意識をつくるには、なにがジェンダー(社会的文化的な性的役割・分業の固定化)なのかということに気づくことが大切だ。女性にたいする差別意識や日常生活、メディアのなかに存在するジェンダーなどに気づき、身近なことから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成していくことが重要だ。また、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどについても、しっかりとした相談窓口をはじめ実効ある対策が必要だ。
さらに、組織内で女性が力を発揮できる組織運営、運動になっているのか再点検する必要がある。2001年に「男女共同参画基本方針」を策定し、2008年に「基本方針」の改訂をおこなってから7年が経過している。3月に、第1回男女平等社会推進本部会議を開催し、今日の情況などをふまえ「基本方針」にある組織内目標をはじめ、課題をよりいっそう明確にしていくことを確認した。来年の全国大会に「男女平等社会実現基本方針」(改訂版)を提案するとともに、この改訂版をもとに都府県連の女性部が中心になって学習をすすめ、都府県連・支部で具体的なとりくみをすすめていきたい。
そして、変革の時代に敏感に対応する運動の展開と、女性部としての人材育成をはじめとした組織強化をはかることが重要な課題だ。
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今日の部落解放運動では、部落差別をはじめ、女性差別、障害者差別、複合差別にもしっかりと視点を置いたとりくみも必要だ。
昨年11月19日に、第4回マイノリティ女性フォーラムを東京・参議院議員会館会議室でおこなった(2695、2698号既報)。これまで、マイノリティ女性フォーラムは、アイヌ女性、在日コリアン女性、部落女性の3者でおこなってきたが、今回はDPI女性障害者ネットワークも加わり、4者共催で開催し、マイノリティ女性の現状と課題を報告し合い、意見や質問などをうけ、活発な意見交換をおこない、論議を深めた。
さらに、自治体での施策の推進に向けて、各都府県・市町村によって名称や内容もさまざまであるが、「男女共同参画基本計画」などの見直し時には、2010年12月に閣議決定された「第3次男女共同参画基本計画」の第8分野の基本的考え方と同じような文言が入るように、私たちの住んでいる自治体ごとの部落女性の視点をふまえた、より具体的な内容の「男女平等参画計画(プラン)」を改定するように、各都府県連でとりくみをすすめよう。そして、男女共同参画審議会委員の一般公募があれば積極的に応募し、委員会のなかで部落女性をはじめ、マイノリティ女性の声を反映させていくことが必要だ。とくに、京都府や奈良県、熊本県、さいたま市など、8道府県3市で「障害者差別禁止条例」が制定されている。今後も、「障害者差別解消法」成立後の政府・自治体の動向や「障害者権利条約」など、福祉や生活に関連した先進的な条約や法律、とりくみに学びつつ、共闘運動もすすめていかなければならない。
この間、アイヌ女性、在日コリアン女性、部落女性のアンケート調査結果をふまえた関係省庁との交渉をおこなってきた。今後も、マイノリティ女性にたいする施策の充実と政府による実態調査を要求するなど、粘り強く働きかけをしていかなければならない。来年2月にはジュネーブで、国連女性差別撤廃委員会による第7回・8回の日本政府報告書の審査がおこなわれる。2003年、2009年に女性差別撤廃委員会から日本政府にたいして、マイノリティ女性の実態把握などの具体的な勧告がだされたが、日本政府はいまだに履行していない。今年、7月のジュネーブでの事前審査に向けて、さまざまな女性団体との協働したとりくみをすすめ、勧告の完全実施をかちとっていくことが必要である。
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第60回全女のオープニングに広島県連女性部による、詩の朗読が披露される。朗読される詩は、府中市在住の井上ハツミさんの「ピカドン」だ。井上さんは識字学級で文字をとり戻し、感性豊かな作品を書き続けている。部落解放文学賞にも数多くの作品を応募され、受賞作品も多く、作品集『私の生まれた日』(もず工房・販売 解放出版社)が出版されている。
分科会では、部落解放・人権の法制度の確立に向けた闘い、狭山再審闘争をはじめ、差別糾弾闘争の強化、複合差別の視点を含めた男女平等社会の実現、自立白閲に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大や「人権と福祉のまちづくり」の実現など、7つのテーマにわかれて運営する。分科会によっては、学習講演形式ですすめる分科会もある。各分科会で実践交流と論議を深め、活発な意見を出し合おう。
さらに、集会で学んだことをふまえ、部落解放運動だけではなく、さまざまな差別と闘う国内外の女性たちと反差別・反貧困のネットワークをつくりながら、すべての女性たちとの連帯をさらに強化し、人権と平和の確立、いのちと生活を守る協働のとりくみを地域ですすめよう。
被爆地・広島での全国女性集会で、私たちはあらためて戦争と差別に反対する闘いを強めることを確認するとともに、男女がともにジェンダーによって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない男女平等社会の実現に向けて、部落女性の力を総結集して第60回全女を成功させよう。
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