長野での全人教大会に実践と成果をもちより、人権・同和教育の輪を広げよう
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第67回全国人権・同和教育研究大会が11月21、22日、長野市・ホワイトリングを主会場にひらかれる。東日本での大会は、1985年の東京大会いらい、30年ぶりとなる。
同和教育は、「今日も机にあの子がいない」に象徴されるように、教育の機会が差別の結果奪われていた部落の子どもたちへのとりくみなど、部落問題の解決をはかることを教育課題として、1950年代に、おもに関西を中心とする教師の自主的なとりくみとしてはじまった。
部落問題の解決をはかる教育課題にとりくむなかで生み出された「差別の現実から深く学ぶ」という思想は、学校教育や社会教育でおこなう同和教育のなかで、在日外国人や障害者などにたいする、さまざまな差別や人権問題にとりくむ重要な視点となり、豊かな教育内容や幅広い教育実践の創造など、同和教育の広がりをかちとってきた。
そして、地域改善対策協議会の意見具申(1996年)で、「これまでの同和教育や啓発活動の中で積み上げられてきた成果とこれまでの手法への評価を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべき」であるとの提言、人権教育・啓発推進法の施行(2000年)、「人権教育・啓発に関する基本計画」の策定(2002年)をふまえて、文部科学省が設置した「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」による「人権教育の指導方法等の在り方について[第1次~3次とりまとめ]」(2004、2006、2008年)へとつなげられ、同和教育は、今日の人権教育の礎として位置づけられている。
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このように、心ある教師の自主的活動にはじまり、今日では法的裏づけも整えられた人権教育ではあるが、「人権教育の推進に関する取組状況の調査結果について」(文部科学省、2009、2012年)で明らかにされているように、地域や校種によって推進状況に格差が存在し、近年は足踏み状態が続いているなど、全国すべてに広がりをみせているわけではないのが現状である。その理由の一つとして、教育委員会や学校現場で、人権教育の意義や役割が十分に理解されていないとの分析や指摘もある。
しかし、こうした指摘以上に根本的な問題は、社会のあらゆる分野に市場原理が導入され、学校現場にも「学力テスト」に象徴される成果主義や業績主義が蔓延していること、個人の尊重や社会の多様性に否定的な教科書の導入など、公教育そのものが大きく歪められ破壊されようとしている、ということである。
「第3次とりまとめ」は、人権教育を推進する前提として、「教育・学習の場自体において、人権尊重が徹底し、人権尊重の精神がみなぎっている環境であること」を求めているが、安倍政権が矢継ぎ早にすすめる教育「改革」は、この指摘を真っ向から否定するものである。
端的にいえば、ひとりの尊い命が「自死」によって奪われたにもかかわらず、その死を隠蔽し、授業を続けることができてしまうような、人間を疎外する学校は、もはや教育をおこなう場とはいえない。
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今日、いじめ、虐待、貧困など、社会が生み出す矛盾やしわ寄せが、子どもたちの教育や生活に大きくのしかかり、困難を抱える子どもたちが増えている。
こうした困難を個人の責任にすることなく、差別やいじめ、虐待などを生み出す日本社会の矛盾を明らかにし、困難な状況にある子どもたちの課題を教育活動をとおして解決し、個人の変革を社会変革へつなげていく人権教育の営みが、いまこそ求められている。
第67回長野全国人権・同和教育研究大会に、各地の人権・同和教育の豊かな実践と成果をもちより、目の前の子どもたちと向き合い、「差別の現実から深く学ぶ」ことを合言葉にした教育実践を、全国の仲間に向けて力強く発信し、人権・同和教育の輪を広げよう。
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