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参議院選挙に勝利し、差別と戦争に反対する政治勢力の結集を創り出そう

「解放新聞」(2016.02.22-2752)

 安倍政権は昨年9月に、「特定秘密保護法」の施行や集団的自衛権容認の閣議決定にもとづいた安全保障法制を整備するとして、「戦争法」を強行成立させた。この暴挙は、法案成立に向けて、通常国会としては戦後最長という、異例の国会会期延長をしたものの、連日の国会包囲行動や全国各地での反対運動の盛り上がりに追い詰められたものであった。安倍首相が法案成立後に「今後も国民の皆様に誠実に粘り強く説明をおこなっていく考えだ」とのべたように、「戦争法」への理解がまったくすすんでいないことを承知しながら、特別委員会での審議を一方的に打ち切り、委員会が大混乱するなかでの採決だったのである。
  国会審議でも、11本もの法律の改定などを「安保法制関連法案」として一括で提案し、「戦争法」の必要性をまったく説明できず、自衛隊による武力行使を含む戦争行為を容認するなど、憲法違反の法案であることが明らかになっても、ただただ法案の成立に固執したのである。一方、「戦争法」反対の闘いは、法案成立後も、「戦争法」廃止2000万人統一署名を中心に全国でとりくみが継続されている。「戦争をする国」づくりとともに、憲法改悪をすすめる安倍政権の暴走を阻止するためにも、これからの闘いでは、人権と平和、民主主義の確立に向けた政治勢力を大きく結集することが必要だ。
  7月に実施される参議院選挙では、差別と戦争に反対する一票に想いをこめ、すべての推薦候補の必勝に向けて全力で闘いをすすめよう。

 「戦争をする国」づくりをすすめる安倍政権の支持率を支えてきたのが、景気回復策の経済成長戦略とされてきた「アベノミクス」である。しかし、それとてデフレ脱却を名目に株価高騰と、円安進行による輸出産業の増収益を演出したに過ぎず、実体経済を改善したわけではない。しかも、富の再配分を不必要とする新自由主義政策のもと、貧困と格差は深刻化する一方である。
  実質賃金は低下し、8%の消費税増税と、円安による食品、衣料などの生活必需品の値上がりが、市民生活に大きな打撃を与えている。また、労働者の非正規化がすすみ、「残業代ゼロ」「解雇の自由化」などの労働法制の改悪もすすんでいる。さらに、生活保護制度などの社会保障関係費の削減で、安倍政権のもとで福祉政策が大きく後退している。
  こうした情況のなかで、安倍政権は、アベノミクス第2ステージとして、2020年には、名目国民総生産GDP)を600兆円、20年代初頭には、希望出生率1.8%を実現、同じく20年代中頃には、介護離職者をゼロにするという、新「三本の矢」を打ち出した。これはデフレ脱却を目的とした旧「三本の矢」が、大胆な金融緩和策に頼ってきたことへの失敗をごまかし、「一億総活躍社会」などと、あらゆる方策を「戦争のできる国」づくりに集約させるものである。
  さらに、日銀は、1月29日にマイナス金利政策の導入を決定したが、その結果が株価下落と円高の連鎖である。今後、株価が多少上がったとしても、中国経済の低迷、原油価格の低下などとともに、好調といわれた米国やドイツ経済でさえ陰りをみせる今日、実体経済の景気回復につながらないで、株価高騰を命綱にしてきたアベノミクスは崩壊したといえる。
  新自由主義政策をすすめる安倍政権では、私たちのいのちとくらしは守れない。貧困・格差をすすめる政治を転換するために、参議院選挙に全力でとりくもう。

 7月の参議院選挙に向けて、部落解放同盟では、中央委員会で、全国比例区候補の推薦と、都府県連の支援割当も決定している。すでに各候補者陣営と連携しながら、具体的な支援のとりくみもすすめられている。今回の参議院選挙では、なによりも憲法違反の「戦争法」を強行成立させた安倍政権と厳しく対決し、すべての推薦候補の必勝をめざし、全力をあげて闘いをすすめなければならない。
  安倍政権は、貧困と格差を拡大し、ヘイトスピーチを放置する反人権主義の政治をすすめている。しかも、いまだに東日本大震災の復興と原発事故が収束していないにもかかわらず、原発再稼働と、インドなどへの原発輸出をすすめようとしている。また、沖縄の辺野古新基地建設でも、沖縄の民意をまったく無視し、抗議行動には、警視庁の機動隊を投入、弾圧を強めている。まさに、日本政府と沖縄の闘いとなっている。私たちは、沖縄に米軍基地を押しっけてきた差別構造を根底から打ち砕くために、沖縄の闘いとしっかり連帯していこう。
  その沖縄では、党派、団体の枠をこえた反安倍政権の共同行動がすすめられ、さきの宜野湾市長選では惜敗したものの、これまでの衆議院選挙や県知事選挙では大きな力を発揮している。今回の参議院選挙でも、1人区の熊本選挙区では「戦争法」廃止に向けた野党統一候補が実現した。このように、今回の参議院選挙では、全国比例区とともに、32区ある1人区での野党共闘が重要だ。
  安倍政権は、参議院選挙で、憲法9条の改悪を争点にすると公言している。自民党憲法草案には、「緊急事態条項」があり、あらゆる権限を内閣に集中させ、戒厳令さえ発令できるなど、まさに人権抑圧の改悪内容ばかりである。こんな憲法改悪を許してはならない。都府県連では、選挙区での候補者推薦も早急に決定し、都府県連・地区協議会・支部でのとりくみをすすめよう。
  今回の参議院選挙は、「アベ政治」から人権と平和、民主主義を守る政治に転換していくための重要な闘いだ。組織の総力をあげて、すべての推薦候補の当選をかちとろう。


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