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運動方針の具体化に向けて、部落解放運動をいっそう強化しよう

「解放新聞」(2016.03.21-2755)

 今年の全国大会の運動方針では、「戦争法」の強行成立をはじめとした、憲法改悪を阻止する闘いの強化を強調した。代議員の論議でも、安倍政権と対決する姿勢を鮮明にして、政治情況の変革をかちとる必要性が訴えられた。
  安倍政権は、今夏の参議院選挙で改憲を争点にすると明言している。参議院で3分の2の改憲勢力を獲得し、憲法改悪を発議しようとしている。この間、アベノミクスの失敗が明らかになり、「一億総活躍社会」をめざすとして、経済政策の失政を取り繕おうとしている。しかし、強い経済、子育て支援、安心の社会保障などとして、GDP(国内総生産)600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロという、根拠のない、実現性のない目標を掲げているだけである。
  しかも、包摂と多様性による持続的成長と分配の好循環をめざすとしているが、新自由主義による安倍政権こそ、富の再分配を不要として、一生涯派遣の非正規労働者を増大させているのであり、正反対の反人権主義的な政治を推しすすめているのである。
  「一億総活躍社会」のなかにある「一度失敗を経験した人も、希望が叶う社会」とは、消費税増税と社会保障費の削減や労働法制の改悪をすすめてきた安倍政権を打倒するまでは到底実現しないことは明らかだ。

 部落解放同盟は、安倍政権の憲法改悪策動を断固阻止するために、参議院選挙の全国比例区では、連合を軸とした民主党と、社民党候補を推薦候補として、都府県連での支援割当の分担も決定している。衆参同日選も想定される政治情況のなかで、推薦候補の必勝に向けて、組織の総力をあげて闘おう。また、参議院選挙区では野党共闘がすすんでいる。1人区では野党が協力していくのは当然である。ただ、野党共闘といっても、部落差別のとらえ方では対立する政党もある。都府県連では、候補者との政策協定を軸にした推薦決定を早急にとりくんでもらいたい。
  安倍政権は、包摂と多様性のある社会づくりをすすめるとしているが、ヘイトスピーチを放置しているのは安倍首相自身だ。「韓国人、朝鮮人を殺せ」などと叫ぶデモ行進にたいして、国連人種差別撤廃委員会などの国連人権条約関係機関から法規制などのきびしい内容の勧告が出されている。また、「部落地名総鑑の原典」だとする書籍の販売予約をネット上でよびかけたり、差別身元調査や土地問い合わせ事件など、悪質で礎信犯的なものが多発している。
  安倍政権のすすめる反人権主義の政治が生み出した深刻な差別事件を断固糾弾し、社会変革に結びつける闘いを展開していこう。

 部落解放同盟の差別糾弾闘争は、威勢のいい言辞を連ねるだけの無責任なものとはいっさい無縁である。全国大会でも、差別身元調査事件のとりくみで、本人通知制度導入に向けた実践報告もあった。大量差別文書配布事件でも、被害者を含めたていねいなとりくみがすすめられている。こうした差別実態を社会的に広く訴え、人権侵害救済制度の確立に結びつけていくことも重要だ。また、全国大会では、安倍政権のもとでのきびしい情勢のなかで、人権侵害救済制度の確立とともに、この間の悪質化する部落差別事件をふまえて宣言法や理念法的なものも視野に入れた個別法の考え方も示された。人権の法制度を少しでも前進させていくために、さらに論議を積み重ねていきたい。
  さらに、全国大会では「男女平等社会実現基本方針(第2次改訂)」が採択された。今大会も3割の女性代議員の参加は実現できたが、さらに具体的な数値目標も設定しながら、組織全体の課題として、「基本方針」の学習をすすめ、とりくみ成果を積み上げていく努力をしていきたい。
  今大会では、ほかにも、マイナンバーや貧困問題、反原発、人権のまちづくりなど、代議員から多くの意見や提案、課題や実践の報告があった。双方向での討議をすすめるために、ブロック別支部長研修会などでさらに論議を深め、運動方針の具体化をすすめよう。


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