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NEWS & 主張
差別言動くり返す暴力行為に
長野地裁が有罪判決
「解放新聞」(2016.03.28-2756)
 【長野】しつような差別言動をくり返し、Bがふるった暴力行為にたいして、3月15日午後、長野地裁で有罪判決が出された。この事件は、2011年に長野市内に住むAさん宅の向かいに転居してきたBが、2014年ころからAさんにたいして「チョーリッポ」「ヨツ」「畜生だ」「人間じゃねえや」と昼夜関係なく差別言動をつづけたなかで起きた暴行事件。
  Bは、通行人にたいして、あの家は「チョーリッポだ」と叫んだり、自身の孫(就学前か小学校一年生ぐらい)にも差別発言をさせるなど行動をエスカレートさせた。連日の差別言動に困り果てたAさん夫妻は、Bの差別発言の内容の記録をはじめるが、2015年12月、Bの差別言動の模様をスマートフォンで撮影したAさんの妻にたいしてBが足を蹴り、腕をつかみ倒すという暴行事件をおこした。近所の人の助言もあり警察に通報し、Bは暴力行為で逮捕され起訴された。2回の公判をへて、3月15日午後、長野地裁は、懲役6か月、執行猶予3年、保護観察つき(また、「つきまといなどの行為をしないよう」特別遵守事項をつけ加え)という判決を出した。
  これまでの公判では、Bが差別発言をしているようすの動画が証拠として上映されたが、Bは、暴行については認めたものの、差別発言は「していない」と否認していた。
  公判では、裁判長や検察官から「差別発言の有無」について問われると「していない」と否定。検察官からは、証拠として上映された「動画を見ても差別発言をしていないとは、どういうことか。供述の過程で「差別発言をした」とのベている」ことを質されるとBは、「検察官の誘導尋問で」という趣旨の証言をしていた。
  判決の量刑理由では、Bが差別発言をくり返したと認定し「被告の身勝手で独善的な性格が原因で、犯行態様は悪質」とした。

長野市での差別事件に判決

救済放棄の行政機関
差別容認の姿勢明らか

事件の経過
  Bは、2010年に競売物件を購入して現在地に転居。当初から近隣の住民たちに暴言を吐くなどトラブルを起こしていた。Aさんにたいしては、2011年ころから嫌がらせがはじまり、2014年ころからは部落差別発言へとエスカレートした。この執拗な差別言動にたいして、Aさん夫妻は何度も警察に通報するが、結局とめることができなかった。Aさんによれば、長野地方法務局にも相談。法務局には、差別発言などへの対応を拒否されたという。同時に、長野市にも相談。Aさんは、具体的な差別発言の日時や内容を記録した書面を提出し対処を求めるが、具体的な救済への対応はなかった。
  2014年8月には、「謝罪」という文書がAさん宅の近所、地域のみならず広範囲の家に投函される。これをAさんは数十軒の家から回収した(長野市がAさんに回収を指示)。その内容は、「私(A実名)は一般人ではありません。私たちは特別な人(部)です。長年隠していて申し訳ございません」というもの。長野市はこの事件について解放同盟県連への連絡もせず隠しつづけた。
  2015年7月になってAさんは、解放同盟に相談の電話をする。初めて解放同盟県連はこの事件を知ることになる。県連はただちに面会し、差別発言のようすの録画を要請した。また、猶予できない事態だとして差別発言行動を止める仮処分申請の手続きの準備にはいった。9月29日付で長野地裁に「差別発言禁止など仮処分命令申し立て」をおこない、長野中央署と長野県弁護士会にも説明(要請)した。10月21日付けで長野地裁から申請通りの仮処分が出された。しかし、Bによる差別言動は一時的に収まったものの黙ったままのつきまとい行為をおこない、しばらくして差別発言を再開。12月30日には暴行事件をおこし、今回の有罪判決になった。
  県連は、「事件は何も解決していない。Bが差別言動を認めて反省し、Aさんにたいして謝罪するとともに、なぜ差別発言等の行為に至ったかを明らかにすることが必要」との立場。行政責任の追及とともに、今後対応を協議するとしている。


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