被爆地・長崎でひらく第61回全国女性集会を成功させよう
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これまで国の女性施策として、男女雇用機会均等法、育児介護休業法や次世代育成支援対策推進法が制定された。さらに、安倍政権は2013年にアベノミクスの経済成長戦略の柱として女性の活躍を位置づけ、「女性が輝く日本」の実現に向けた政策を打ちだし、「社会のあらゆる分野で、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」といった目標が示された。しかし、女性の国会議員や管理職に占める割合(日本の男女格差指数)は依然として低く、賃金でも男女の格差は縮まっていないのが現状だ。
また、昨年8月28日には、女性の登用を促す新たな法律として「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が制定され、今年の4月1日から施行された。しかし、この法律も、罰則規定がないため、どこまできちんと実行されるのか危倶されている。
日本の人口は年年減少し、少子高齢化社会を迎えている。男女がともに働きつづけ、仕事(ワーク)と生活(ライフ)の両立が可能となるような社会の実現をめざすためには、労働者が性別によって差別されることがなく、労働時間の短縮や、同一労働同一賃金を実現させ、男性にも取得しやすい育児・介護休業をはじめ、各種休業制度の充実などが必要だ。また、職場の環境づくりや、家庭での家事や育児、地域での社会的活動などを男女がお互いに担い、職場で意欲と能力を十分に発揮できるような、それを支える制度やシステムの構築と、なによりも社会全体の意識変革が必要なことはいうまでもない。
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今日の部落解放運動では、部落差別をはじめ、女性差別、障害者差別、複合差別にもしっかりと視点を置いたとりくみが必要だ。
昨年11月28日には、2015年が北京世界女性会議から20年、日本が女性差別撤廃条約を批准して30年の節目の年にあたったことから、部落女性、在日コリアン女性、障害女性などが中心になって、シンポジウム「国連審査とマイノリティ女性2015」を大阪・ドーンセンターで、2部形式でひらいた。1部は、記念講演のあと、部落女性、在日コリアン女性、障害女性の代表がメッセージを発表した。2部は、各テーマに分かれてグループ討議をおこない、活発な意見交換をおこない、議論を深めた。
今後も、マイノリティ女性たちとの協働のとりくみや、政府にマイノリティ女性にたいする施策の充実と実態調査を要求するなど、粘り強く働きかけをしていかなければならない。
今年2月にジュネーブで、国連女性差別撤廃委員会による第7回・8回の日本政府報告書の審査がおこなわれた。2003年、2009年に委員会から日本政府にたいして、マイノリティ女性の実能括握などをはじめ、多くの異体的な勧告がだされたが、日本政府はまったく履行しておらず、委員会から厳しい批判があった。
今回の政府報告書審査には、中央女性運動部の代表を派遣し、女性差別撤廃委員に部落女性の実態を訴えた。その成果もあり、2003年、2009年にだされた勧告よりも、さらに踏み込んだ内容の勧告がだされた。今後とも、さまざまな女性団体との協働したとりくみをすすめ、勧告の完全実施をかちとっていくことが必要である。
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男女平等は憲法にも定められている大切なことだが、現実には女性にたいする差別が厳然と存在している。男女平等の意識をつくるには、なにがジェンダー(社会的文化的な性的役割・分業の固定化)なのかということに気づくことが大切だ。女性にたいする差別意識や日常生活、メディアのなかに存在するジェンダーなどに気づき、身近なことから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成していくことが重要だ。また、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどについても、しっかりとした相談窓口を設けることなど、実効ある対策が必要だ。
組織内でも女性が力を発揮できる組織運営、運動になっているのか再点検する必要がある。2001年に「男女共同参画基本方針」を策定し、2008年に「基本方針」の改訂をおこなってから7年が経過している。今回、「男女平等社会実現基本方針(第2次改訂版)」を作成し、第73回全国大会で採択決定した。この第2次改訂版をもとに都府県連の女性部が中心になって学習をすすめ、都府県連・支部で異体的なとりくみをすすめていきたい。
そして、変革の時代に敏感に対応する運動の展開と、女性部としての人材育成を中心に組織強化にむすぴつけていこう。
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第61回全国女性集会が5月14、15日、長崎市内でひらかれる。分科会は、部落解放・人権政策の確立に向けた闘い、狭山再審闘争や鳥取ループ・示現会などの確信犯的な差別者にたいする差別糾弾闘争の強化、複合差別の視点をふくめた男女平等社会の実現、自立自闘に向けた闘いと人材育成をはじめとした女性部組織の拡大、「人権と福祉のまちづくり」の実現など、7つのテーマに分かれて運営する。分科会によっては、学習講演形式の形ですすめるところもある。各分科会で女性部の活動の実践交流と論議を深め、活発な意見を出し合おう。
女性をとりまく情況も大きく変化している。集会で学んだことをふまえ、部落解放運動だけではなく、さまざまな差別と闘う国内外の女性たちと反差別・反貧困のネットワークをつくることが求められている。すべての女性たちとの連帯をさらに強化し、人権と平和の確立、いのちと生活を守る協働のとりくみを地域ですすめよう。
昨年の広島に続いて、本年も被爆地・長崎での全国女性集会の開催となる。私たちはあらためて憲法違反の「戦争法」の廃止をはじめ、差別と戦争に反対する闘いを強めることを確認しよう。そして、男女がともにジェンダーによって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない男女平等社会の実現に向けて、部落女性の力を総結集して第61回全国女性集会を成功させよう。
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