戦中戦後、栃木の養育院分院に強制収容された多くの戦争孤児が、飢えや寒さのために死亡したことを示す歴史的な資料として、昨年12月の「報道特集」で「過去帳」を放映した。この問題で、3月31日、中央本部でTBSテレビと話し合い、問題点の明確化と、今後の研修のあり方などについて意見交換した。TBSから報道番組部長、編集部長、社会部長、中央本部から西島書記長、大西中執らが出席した。
話し合いでは、TBSから、番組のなかで多くの戦争孤児が死亡した事実を伝えるため、当時の資料としては唯一のものであった過去帳を、モザイク処理を含めた配慮をしながら映像化したとの編集経緯が報告された。また、これまでの研修実績や、人権を重視した報道倫理ガイドラインについても説明があった。
西島書記長は、戦争の悲惨さを伝えたい番組趣旨は理解するが、社内研修で過去帳が差別的な身元調査に利用されていたことを学びながら、たんにプライバシー侵害にならないように表現を慎重に検討したという点について、「表面的な研修の結果であり、かつて過去帳がはたしてきた差別的役割や今日的な差別実態を十分に理解していないのではないか」と厳しく指摘した。また「知識として学ぶことのすべては否定しないが、現実の部落差別の実態と真剣に向き合うことを研修の基本にしてもらいたい」と要請した。
TBS側は、「指摘された点はこれからの課題としたい。研修内容について、今回の「過去帳」問題では、そこまでの認識にいたっていなかったことが根底にあると反省している。これまでもヘイトスピーチをはじめ差別・人権問題を取りあげているが、メディアの役割が大きいことを自覚して、積極的に情報発信していきたい。研修のあり方も、自分たちの職場に近い部分で問題を取りあげ、しっかりと理解できる内容にしていきたい」と回答した。
西島書記長は「差別撤廃に向けたメディアの役割は大きい。全社的な課題として、研修内容の点検、見直しをすすめ、その成果が反映するような報道姿勢を確立してほしい」とまとめた。
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