狭山再審を求める5・24狭山市民集会をバネにとりくみを強化しよう
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弁護団の粘り強い追求によってこれまで隠されてきた証拠がつぎつぎと開示され、開示された証拠をもとに新証拠が提出されるなかで、狭山第3次再審はきわめて重要な段階をむかえている。部落解放同盟と部落解放中央共闘会議、狭山事件の再審を求める市民の会は、5月24日に東京・日比谷野外音楽堂で「狭山事件の再審を求める市民集会」~不当逮捕53年!いまこそ事実調べ、再審開始を!~」をひらく。全国からこの集会に参加しよう。いまこそ証拠の全面開示と事実調べをかちとり再審開始を実現しよう。
まず、最近の裁判の動きをみてみよう。狭山再審弁護団は、2月26日付けで、「秘密の暴露」とされた被害者宅付近の駐車車両の目撃について、三宅洋一・千葉大学名誉教授の鑑定書、実験報告書、再審理由補充書を提出した。寺尾判決は、脅迫状を届けたさいに、被害者の家の東に車が駐車していたとする石川さんの自白どおりに貨物自動車が駐車されていたとして、これを犯人しか知らない「秘密の暴露」と認定し、石川有罪の証拠の一つにあげていた。しかし昨年5月1日、三宅洋一・千葉大学名誉教授が狭山現地で車両の目撃の再現実験を実施した結果、寺尾判決のいう駐車時間帯(午後7時~7時40分)では、すでに暗くなっており、約64メートル離れた場所から車両の識別はできないことが科学的に明らかになった。駐車車両を見たという目撃者の証言はもっと早い時間帯であり、午後7時半頃に駐車していたとする寺尾判決は誤っていたのだ。
今回の実験は、車を駐車させた人や車両を目撃していた人らの調書、捜査報告書が2013年1月に開示され、駐車時間帯が2時間以上も前であることが判明したことを踏まえておこなわれたものだが、証拠開示と科学的鑑定によって「秘密の暴露」にあたるとした寺尾判決の有罪の認定は、また一つ崩れた。
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第27回3者協議(3月4日)では、証拠開示をめぐって弁護団と検察が厳しく対立した。とくに「秘密の暴露」とされた脅迫状を届けるさいの「車の追いこし」「車の駐車の目撃」については、厳しいやりとりが続いた。というのは、前回の3者協議では、弁護団の証拠開示要求にたいして、検察官はすべて調べたが不見当であるという回答をくりかえした。このため弁護団は、当初から存在しないのか、存在しない理由や経緯を説明すべきではないかと追及し、裁判所は検察官に書面で回答するよう検討を求めていた。その回答(意見書)が今回出てきたのだが、検察官は、これらの証拠は不見当であり、当初から存在しないかどうかは不明、というきわめて不誠実で無責任な回答を出してきた。
また2月に、事件直後に被害者宅周辺の聞き込みをおこなったことを複数の警察官が法廷で証言していることを指摘し、これら捜査官らの作成した捜査報告書の証拠開示勧告申立書を提出していたが、これについても検察官は、不見当と回答した。検察はなぜ誠実に対応しないのか。このような態度はけっして許されない。
これまで捜査段階で存在したはずの殺害現場とされた雑木林を撮影した8ミリフィルムが不見当とされていることを指摘し、埼玉県警など東京高検以外で作成された証拠物一覧表の開示を求めていたが、検察官はこれも開示の必要はないとして拒否した。検察の証拠隠しは許されない。
今年2月末に4300件もの事件の捜査資料や証拠品が30年以上にわたって検察に送られず放置されていたという大阪府警のずさんな証拠管理が明るみに出て問題になったが、弁護団は、この問題もとりあげ、埼玉県警が収集・作成した証拠物のリストを開示する必要があると強調した。
また「財布」「手帳」関係の証拠開示も求めた。「財布」「手帳」は、身代金を狙ったとされている事件の核心につながる重要証拠だが、いまもって発見されていない。2010年に開示された取り調べの録音テープでは、石川さんが「財布」「手帳」について何も知らないことがはっきりあらわれている。このため、弁護団が今回あらためて開示請求をおこなった。「財布」「手帳」について、警察がどのような捜査をおこなったかは、事件の真相を究明するうえできわめて重要だ。これについて、検察官は検討すると回答した。
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狭山第3次再審では、2010年5月に証拠が開示されて以降、今日まで185点の証拠が開示され、弁護団は182点の新証拠を裁判所に提出した。開示された証拠のおもなものをあげれば、逮捕された当日に石川さんが書かされた狭山署長に宛ての上申書、取り調べの録音テープ、腕時計の捜査資料、死体についていた手拭いの捜査資料、鞄の捜査資料、駐車の目撃に関する捜査資料などがあげられる。いずれもきわめて重要な証拠だ。これらの証拠開示によって、①脅迫状は石川さんが書いたものでないこと②発見された腕時計は被害者のものではないこと③犯行に使われた手拭いは石川さん宅のものではないこと④カモイの万年筆は被害者のものではないこと⑤取り調べ録音テープのやりとりに、秘密の暴露といえるものがないこと、むしろ、石川さんは犯行内容を知らない=犯人ではないことがあらわれていること⑥「自白」はつくられたものであること⑦犯行現場を裏付けるものが何もないこと、などが明らかになった。第3次再審請求が10年をむかえて、証拠の開示と新証拠の積み重ねによって、いよいよ石川さんの無実が明確になってきた。
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狭山第3次再審闘争は、いよいよ山場をむかえた。部落解放同盟中央本部は4月5日にひらいた狭山全国活動者会議で、証拠開示と新証拠の積み重ねによって切りひらかれた再審闘争の現状を確認し、いまこそ事実調べ・再審開始を実現しようと確認した。そして、当面は、5月24日に日比谷野音でひらく「狭山事件の再審を求める市民集会」に向けて全国でとりくみをすすめ、それをバネに以降もとりくみ強化をはかることを確認した。
活動者会議では、弁護団に憲法学者で慶応大学名誉教授の小林琴・弁護士があらたに加わることが報告され、弁護団の中北龍太郎・事務局長は、取り調べテープと2通の心理学者の鑑定書をはじめとした新証拠について解説した。
狭山闘争は、いま証拠開示=新証拠提出で大きな山場をむかえている。全国各地で狭山の集会や学習会、街頭情宣、署名活動、要請はがき、狭山パネル展にとりくもう。また、東京高裁前の石川さんのアピール行動を支援し、映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映運動を引き続き全国ですすめよう。全国の都府県連・支部は、「東京高検は、すべての証拠物をすみやかに開示せよ」「高検以外の証拠物リストを開示せよ」「捜査書類をふくめた全証拠のリストを開示せよ」「東京高裁は、証拠開示で明らかになった新証拠の事実調べをおこなえ」を合言葉に継続した行動を展開しよう。
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