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NEWS & 主張
わずか9900円の過料
差別文書 大量ばらまき事件で大阪簡裁
「解放新聞」(2016.05.30-2764)
 【大阪支局】昨年4月以降、大阪・兵庫・京都で大量に差別文書をばらまいた事件の犯人にたいし、大阪簡易裁判所はこのほど、侮辱罪で科料9900円の略式命令をだした。この犯人は、東大阪市に住む男性(60)。動機や差別行為におよんだ背景などの解明はすすんでいないが、犯人は文書を送ったことを認め、科料を納付した。
  大阪府連が把握している被害は、38か所で1850枚の差別文書を被差別部落の個人宅の郵便受けに投函したり、支部事務所、皮革・食肉関係事務所に郵送するなどした。
  支部長ら8人を被害者として名誉毀損で大阪府警に告訴したが、検察は個人の名誉を傷つける記述がなかったため、侮辱罪を適用する判断をおこなった。
  赤井隆史・府連委員長は「今回のような悪質な事件でも、本人には負担にならない額の科料ですんでしまい、現行法には限界がある。人種・民族差別に限定することなく、悪質な差別文書やヘイトスピーチを規制する法整備が急務だ」と話している。

差別の法規制を
関係者会議で対応を協議

 【大阪支局】差別文書大量ばらまき事件の関係者会議が4月28日、大阪弁護士会館でひらかれ、20人が参加。原告代理人の大川一夫・弁護士が事件の経過を報告し、今後のとりくみを協議した。
 赤井委員長は「ヘイトスピーチにたいする与党案が提案されたが、アイヌ、部落問題はふくまれていない。「全国部落調査」復刻版の事件もある。どんな形で差別を規制する法律が可能なのか、考えていきたい」とあいさつ。
 大川弁護士は検察の調書などをおさめた「確定記録」の内容を説明。このなかで文書をまくところを目撃されてからはビラをまいていないことや、「ビラをまくと罪になるのか」と警察などに問い合わせていることを報告したが、いまだ背景や動機について合理的に判断できない部分も多いことを強調した。
 会議では、これだけ大量に差別ビラがまかれているのに9900円の科料ではおかしいという世論を高め、差別行為への厳罰化を訴えていくことを確認。さらに犯人への直接の事情聴取を模索するいっぽうで、犯人の居住する自治体による真相究明、啓発などの働きかけを求めることや、教宣物を作成し、幅広く事件の真相を訴えていくことを確認した。


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