差別と戦争に反対し、部落解放・人権政策確立に向けた政治勢力の結集をめざして参議院選挙闘争に全力でとりくもう
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6月22日に公示された参議院選挙も、7月10日の投開票まで、残る期間もわずかになった。
序盤戦での情勢は、マスコミ報道によれば、自公両党を含めた改憲勢力が78議席を獲得する予想を伝えている。78議席となれば、非改選も含めて、改憲勢力に必要な162議席となる。すでに衆議院では、与党で3分2以上の議席があり、衆参両院で、改憲発議に必要な議席数を獲得する。こうした厳しい情勢を打ち破り、残された期間、全力をあげて、全国比例区・選挙区とも、推薦候補の必勝に向けてとりくみを強めよう。
全国比例区の推薦候補は、すでに中央委員会で担当都府県連を含めて決定している。民進党公認の石橋みちひろ(情報労連・NTT労組)、えさきたかし(自治労)、なたにや正義(日教組)、なんば奨二(IP労組)、森屋たかし(私鉄総連)、社民党公認の吉田ただとも(党首)、福島みずほ(副党首)の7人である。都府県連では、すでに地元関係労組などと連携をとりながら、候補者を招いての人権問題講演会や選挙運動用ハガキの集約などがすすめられている。
選挙区の推薦候補も、すべての1人区で野党共闘が実現しており、一部を除いて、野党共闘の候補者を推薦決定している。とくに、この1人区では、「戦争法」廃止・憲法改悪反対を一致点として、さまざまな政党・市民団体・労組などが結集して選挙戦がすすめられている。都府県連・地区協議会・支部でも、この選挙戦を通して、差別や人権問題の課題を軸に、より幅広い共闘関係を模索することも重要だ。
今回の参議院選挙は、これからの日本が、「戦争法」の発動によって、ふたたび戦争の道につきすすむのか否かを問う、歴史的岐路を決するものである。敗戦後、一貫して、部落差別撤廃、人権と平和の確立を求めてきた部落解放同盟の総力を結集して、とりくみをすすめよう。
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この間、開催してきた全国ブロック別支部長研修会では、第1に、参議院選挙に向けた情勢認識と闘いの課題について意思統一をはかってきた。
安倍首相は参議院選挙直前に、来年4月に予定していた消費税率10%への再増税を「新しい判断」・という詭弁で、19年10月まで2年半の先送りを発表した。また、伊勢志摩サミットでは、リーマンショック前の経済情況であると執拗に主張したが、どの首脳からも賛同は得られず、何の合意もされないままサミットは閉会した。このように安倍首相は、再増税の延期を世界経済の低迷危機によるものと強弁し、増税できる経済成長を実現できなかった、アベノミクスの失敗を認めることはなかった。
しかも、安倍首相はこのアベノミクスを加速させるとして、この間の国政選挙で議席を獲得してきたように、憲法改悪を参議院選挙の争点からあえて外し、デフレ脱却のためには、「この道しかない」としている。しかし、アベノミクスの本質は新自由主義政策であり、「富の再配分」は不必要として、格差と貧困をますます深刻化させるものである。非正規労働者の増大、社会保障費の削減の一方、軍事費を増大させるなど、「戦争をする国」づくりがすすめられている。安倍政権の「1億総活躍プラン」も「女性が輝く社会の実現」も、すべてはこうした戦争推進のための政策である。
円安と株価高騰で好景気を演出していたものの、実質賃金は5年連続マイナス、過去最高の生活保護世帯163万世帯以上が示すように、アベノミクスの失敗にたいする安倍首相の責任は重い。
さらに、こうした社会への不安や不満を背景に、差別排外主義が台頭し、ヘイトスピーチや悪質な差別事件、人権侵害が続発している。EU離脱を決めた英国の国民投票でも、世界同時株安などの大きな影響がでているが、背景には移民政策による難民問題や雇用問題がある。米国大統領選挙でのトランプ共和党候補の言動と同様、多様性を認めず、より不寛容な社会を選択するということが世界的に現実の問題になっている。
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安倍政権のめざす憲法改悪は、自民党改憲草案にあるように、まさに戦前回帰の時代錯誤の内容である。現憲法の前文から、侵略戦争への反省と不戦と平和への決意を削除し、「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、…和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」としている。まるで戦前の軍国主義である。しかも、そのうえで「教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる」のである。戦争推進とそのための富国強兵の思想であり、そのための緊急事態条項による人権の制限もある。さらに、改憲草案では、第1条の天皇について、「日本国の元首」と明記し、第9条の2で国防軍を保持するとしている。
こうした憲法改悪を許してはならない。改憲勢力の3分の2議席を絶対に阻止しよう。安倍首相は、アベノミクスを加速するとして、経済政策を全面的に強調しているが、選挙後には、憲法改悪に向けて動きだすことは確実だ。前回の衆議院選挙でも、「戦争法」の早期制定に固執し、戦後最長となる国会会期延長をおこなった。十分な審議もせずに、多数を力に憲法違反の「戦争法」を強行成立させた暴挙を忘れてはならない。
沖縄では、6月19日に米軍属による女性暴行殺害事件に抗議する県民大会がひらかれた。大会で、オール沖縄会議共同代表の玉城愛さんは「安倍晋三さん。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の「第2の加害者」は、あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか」と訴えた。沖縄の基地問題と、米軍基地があるゆえにくりかえされる悲劇は、沖縄の問題ではなく、この国の差別構造の問題であり、私たち白身の問題である。
私たちの、部落解放・人権政策確立に向けた一票一票の積みあげによって、差別と戦争に反対する、たしかな意思を行動で示そう。人権と平和、民主主義の確立にとって重要な参議院選挙である。比例区・選挙区の推薦候補の必勝に向け、最後までとりくみを強め、平和で差別のない未来を獲得しよう。
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