人が人として尊厳をもって生きていくため、生活に最低限度必要とされる教育を、「基礎教育」という。すべての人に基礎教育が保障される社会をめざす「基礎教育保障学会」設立大会が8月21日、東京都立川市・国立国語研究所でひらかれた。社会教育、夜間中学、識字・日本語、障害者の基礎教育から、外国人・多文化家族支援、生活困窮者支援・社会福祉、ユネスコ・自治体・NPOまで7分野33人のよびかけで、155人が参加した。
設立総会で、2年の準備期間をへて、この日を迎えたことを世話人の岩本陽児さん(和光大学)が報告。会則・発足時体制・学会ロゴなどが承認された。
会長に就任した上杉孝實さん(京都大学名誉教授)は「実践の蓄積は相当にある。実践に役立ち、実践に根ざした研究をすすめるには、学習者を中心にすえること。すべての人のための教育だけでなく、すべての人による教育が課題になる。民主的な運営を確立し、創造的な学会に。多様な分野からの参加により、成果を国の政策にも反映させていきたい。大きな期待とともに責任を感じている」とあいさつした。
つづく研究大会では、副会長の野山広さん(国立国語研究所)が歓迎あいさつ、敗戦直後に国語研究所もかかわって識字調査をしたことにふれ、学会での将来的な識字調査への抱負、研究所で設立大会をひらく意義をのべた。文部科学省事務次官の前川喜平さんと全国夜間中学校研究会理事の須田登美雄さんから、お祝いのメッセージを受けた。
つづいて、大安喜一さん(岡山大学/元ユネスコ・ダッカ事務所)がタイやバングラデシュを例に「アジアにおける基礎教育の完全普及に向けて」、見城慶和さん(えんぴつの会/元夜間中学校教諭)が出会った生徒の例を示しながら「夜間中学の生活基本漢字381字」について、幅広いテーマで基調講演をした。また、子どもの貧困対策、生活困窮者支援、障害者の教育保障にかかわる人びとも交え、8人による「基礎教育保障学会の将来を語る」リレートークがおこなわれた。
入会など学会の詳細情報は、
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