10月6日に福井県で第59回日弁連人権擁護大会がひらかれるのに先だち、プレシンポジウム「えん罪と死刑廃止を考える」が8月20日、大阪市・大阪弁護士会館でおこなわれ、203人が参加した。主催は近畿弁護士会連合会。
東海テレビが制作した映画「ふたりの死刑囚」(袴田事件と名張毒ぶどう酒事件をとりあげたもの)を上映した後、映画監修者の門脇康郎さん、袴田事件弁護団の戸舘圭之・弁護士、名張毒ぶどう酒事件弁護団の小林修・弁護士が報告をおこなった。
つづいて龍谷大学大学院法務研究科教授の石塚伸一さんが「終身刑導入と死刑廃止運動の新たな位相~刑罰制度改革と死刑制度の廃止・縮減」をテーマに講演。これを受ける形でパネルディスカッションが4人でおこなわれた。
とくに戸舘弁護士は検察側の不当な抗告や、いまだに証拠を隠し持つ点を批判した。また、石塚さんは、死刑判決が出たえん罪事件で明白に無実だったにもかかわらず法務大臣が死刑を執行したケースのあることを紹介。死刑制度廃止の方向性をふまえて、あらたな情況を説明した。
このほか、再審無罪をかちとった東住吉事件の青木恵子さんも報告をおこない、警察の不当な取り調べなどを語った。
死刑廃止は国際社会の大きな流れとなっており、2015年のデータで140か国(71%)が死刑を廃止しており、死刑制度のある国でも実際に執行しているのは25か国にすぎない。先進国とされるOECD加盟国34か国のなかでは日本とアメリカの2か国だけが死刑を執行しているが、アメリカでも死刑を廃止する州が増えているのが現状。
こうした情況をふまえ、日弁連では福井大会で死刑制度の議論を分科会でおこなって死刑廃止の議論を盛りあげ、決議をあげて廃止運動に本腰をいれていくことにしている。
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