アダルトビデオ監督がみずからの職業を最底辺であるとして「僕は職業カーストの、昔でいえば『士農工商えた非人』の最底辺なんですよ。AV業界にも職業カーストは歴然とあって…」などの差別表現が掲載された問題で、雑誌を発行している㈱サイゾーの代表取締役、編集長、広告部長、監督などと11月5日午後、東京・中央本部で話し合いをもち、西島書記長、大西中執が出席した。
話し合いでは、編集部も監督も、指摘された部分は、差別表現であることを認めた反省文をもとに、掲載までの経過も報告された。
問題になった『サイゾー』8月号に掲載されたページは広告あつかいで、直接、編集部が校閲をしておらず、広告部もきちんと原稿を確認していなかったなどの、雑誌作成上の問題や、広告部の部落問題理解のなさが原因との説明で、今後、社内での見直しをすすめるとの方向が示された。
また、監督からは、インタビューのときの発言としては、「士農工商えた非人」や「アパルトヘイト」などの言葉を使って、こうした表現が消えても差別の実態は変わらず残るという趣旨だったが、掲載された記事ではそうなっていなかった。記事内容は点検していなかった、などの説明があった。
大西中執は、監督の発言の趣旨は理解するが、掲載記事では、そうした内容にはなっておらず、かえって差別を肯定し拡散するものになっていることを厳しく指摘。掲載原稿のチェックをしていないことも問題とした。
西島書記長は、会社としての反省と問題点をふまえ、今後の社全体の課題とすることや差別問題をきちんと取りあげた企画など、差別問題としっかり向き合うことを要請。また、監督にたいしては、AV監督を最底辺とする自意識があり、記事を構成したライターの責任はもちろんあるが、監督自身の発言全体の内容が、結果として差別を肯定する表現に結びついたことへの反省を求めた。さらに、監督の反省文にあるように、自身が受けてきた偏見や差別を捉え返し、今回の差別表現のもとになっている無意識の差別性を、表現者として自己点検してほしいとまとめた。
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