「解放新聞」(2017.09.18-2827)
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「全国部落調査」復刻版出版事件裁判の第6回口頭弁論が9月25日に東京地裁でひらかれる。部落差別を助長・拡散させる被告(鳥取ループ・示現舎・M(示現舎代表社員))を徹底的に糾弾するため、全国から東京地裁に結集しよう。
鳥取ループ・示現舎・Mは、仮処分決定によって復刻版の出版が禁じられたあとも、インターネットに掲載してこれを拡散するようよびかけていた。最近では「部落差別解消推進法」をも持ち出して、開き直っている。昨年12月に制定された「推進法」は、すくなくともMの行為を念頭に置いて制定された法律だといってもいい。それを言うに事欠いてMは、「「全国部落調査」は、「部落差別解消推進法」に書かれた内容を実現するために、欠かせない資料といえる。とくに実態調査には有効で、それぞれの部落がどのような問題を抱えるのか把握し、あるいは部落差別が解消された部落はどのような経過を歩んできたのかを検証するために、活用することが出来る」などとふざけた主張をおこなっている。
これにたいして弁護団は、「「部落差別解消推進法」が、その第1条(目的)で、「この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ」と規定しているのは、まさに、Mらの行為が深刻な部落差別を引き起こす行為であることを示しているのである」と厳しく弾劾した。しかし、被告はこれをまったく無視するだけでなく、8月に提出した準備書面では、「「全国部落調査」は差別につながる情報ではなく、日本人のルーツの一角に迫る、貴重な歴史資料である」とのべ、依然として開き直りを続けている。
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この裁判に関連して横浜地裁相模原支部は7月11日、Mの異議申し立てを却下し、M自宅マンションの仮差し押さえをふたたび認可する決定をおこなった。Mの不法行為への損害賠償権の執行を保全するために、昨年4月に片岡副委員長を債権者にM自宅マンションの仮差し押さえ申し立てに、横浜地裁相模原支部が4月8日に訴えを認め仮差し押さえをおこなった。Mはこの決定にたいし昨年12月、異議申し立てをおこなったが、今回地裁はこれを却下し、2度目の仮差し押さえを認可する決定をおこなった。
この裁判では、Mが、「部落解放同盟人物一覧」を掲載していないと逃げを打ったことが一つの争点になった。しかし、裁判所は「少なくともMは、本件人物一覧表等が掲載された「同和地区Wiki」の記事について、これを削除したり、データの掲載停止を行うことが可能な権限を有していることは明らかであって、Mは「同和地区Wiki」の管理者であると認められる」とのべ、「管理者としての削除権限を有していながも、この間「同和地区Wiki」から本件人物一覧表の削除をしなかったということは、結局のところこの間の債務者が、自ら本件人物一覧表を掲載していたと同視できるものであって、少なくともその管理者として、その掲載内容によって生じた損害に対する賠償責任を生じ得るものというべきである」とのべて、Mの関与を認め、賠償責任があるとした。
また、権利侵害はないというMの主張にたいして裁判所は、「全国部落調査の内容を、不特定多数の者に広く知らしめようとする行為は、債務者に差別助長の意図があるか否かにかかわらず、実際には差別意識の形成、増長、承継を助長する結果となるであろうことは明らかであるし、そうなれば、差別意識や差別的言動を撲滅しようとしてきた国家やこれに添う活動をしてきた個人や組織の長年の努力を、大きく損なうこととなりかねない」と指摘し、「プライバシー権、名誉権及び差別されることなく円滑な社会生活を営む権利利益を侵害されたことで、少なくとも相当な精神的苦痛を被ったことが明らかである」と権利侵害を認めた。そのうえで、「仮に今現在は、債権者の出身地を知る者に被差別部落出身者であることを知られてしまったり、何者かから現に差別的取扱いを受けるといった具体的な支障が生じたものではなかったとしても、そのような危険にさらされたということだけで、著しい苦痛や不安を伴うものであることは十分理解できるところであり、その慰謝料額が200万円となり得るものであることは疎明されている」とのべて、損害賠償請求権を認め、「建物を仮に差し押さえた原決定は、正当なものと認める」と仮差し押さえをふたたび決定した。
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横浜地裁相模原支部は、Mの行為を差別の助長と指摘し、インターネットへの関与を認めたうえで損害賠償請求権をはっきりと認めた。裁判所が指摘するまでもなく、鳥取ループの復刻版出版やネットへの掲載が差別を助長・拡散することは明らかである。また、部落差別をなくそうと努力してきた部落解放同盟はもちろん、国、地方自治体、企業や宗教団体、労働組合などの長年の努力を台無しにすることも明らかだ。天人ともに許されない鳥取ループ・示現社・Mを徹底的に糾弾しよう。
9月25日の第6回口頭弁論に、全国から結集しよう。
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