「解放新聞」(2017.10.09-2830)
ハンセン病家族訴訟の第6回口頭弁論が9月22日、熊本市・熊本地裁でひらかれた。50の傍聴席に、105人が列をつくった。また、裁判終了後には報告集会とともに「ハンセン病家族訴訟を支える全国市民の会」の発足式もひらかれ、各地から20団体140人が参加。各団体からのアピールでは、裁判の闘いの周知や支援を訴えた。
裁判で弁護団は、原告25人の本人尋問の申請とともに、これまでハンセン病家族への聞き取りにとりくんで著書『ハンセン病家族たちの物語』(世織書房・2015年)にまとめた社会学者の黒坂愛衣さん(東北学院大学准教授)を証人申請。裁判所は第7回口頭弁論(12月4日午後2時から)での黒坂さんの証人尋問実施を認めた。
報告集会で弁護団の徳田靖之・共同代表は、国の姿勢について「2001年の熊本地裁判決からの反省に相反する。国の謝罪という事実がありながら、隔離政策の誤りを顧みることを忘れようとしている」と批判。「原告が大衆を前に被差別体験や思いを語ることは(当事者側の闘いとして)前進か」というマスコミからの問いかけに「問われているのは彼・彼女の苦しさや思いに向き合う私たち社会の側。社会が変われないのならば、なんの前進もない」と厳しく指弾。「国の態度はどこに起因するのかを考えたい。各地で集会をもってさまざまな人に訴え、ひろげよう。原告を支える大きな仲間の輪をつくりだそう」とよびかけた。
「ハンセン病家族訴訟を支える全国市民の会」発足式では当事者や市民運動団体、宗教団体の代表が連帯アピールをおこなった。全国ハンセン病療養所入所者協議会の森和男・会長は、「私たち、そして家族は差別のなかを生きてきた。いまはその被害回復の途上。なんとしても勝訴しよう」とよびかけた。
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