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Kへの名誉毀損は棄却~町行政の啓発は誤った情報を訂正 と裁判所が判決で
香川県議会議員選挙・選挙公報差別事件

「解放新聞」(2017.11.06-2833)

 【香川支局】 2015年4月におこなわれた香川県議会議員選挙で仲多度郡第1選挙区(琴平町、まんのう町)から立候補したK(落選)が選挙公報に「警察庁の発表では、暴力団員の六割が同和地区出身者です。この数字は明らかに、これまでの同和行政が間違っていたことを示しています」という政見を記載。この差別的な選挙公報が選挙区内の1万1050世帯に配布された事件で、選挙後、部落差別を誘発、助長される恐れがあると判断した琴平町、まんのう町が両町長連名で、啓発チラシを全戸配布した。

 これにたいし、Kがチラシ配布により名誉を毀損されたとして琴平町に損害賠償を求めていた。

 9月6日、高松地方裁判所丸亀支部(三上乃理子・裁判長)は、Kの請求を棄却した。

 判決で、①啓発チラシは政見内容を全文引用していることからKだと特定できるが、チラシを受けとった者へ「部落責任論」について説明したもの②町の「部落差別撤廃・人権擁護条例」の趣旨にもとづき、同和問題に関する誤った情報を訂正、周知するとともに、条例の趣旨にもとづいた啓発活動の一環③警察庁発表が存在すると誤信した有権者において、同和地区関係者への差別が助長される可能性があることを指摘するもので、行政上の必要性が認められる、との判断を示した。

 琴平町の関係者は「啓発チラシでK本人をおとしめるのではなく、町民にたいし同和問題を正しく認識してもらうのが目的」とし、「裁判所が、町条例の趣旨にもとづく啓発活動と認めてくれた」と語った。

 なお、Kは判決を不服として控訴した。また、まんのう町にたいしても損害賠償を求めている。


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