「解放新聞」(2018.02.19 -2847)
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今後の部落解放運動の前進・発展に若年層の結集は不可欠だ。しかし同盟員の減少、なかでも高校生・青年をはじめとする若年層の結集が減少しているのが現状だ。かつて、全国高校生集会や全国青年集会はそれぞれ2000人をこえる参加があった。年齢や世代、地域をこえ、多くの高校生・青年がつながること、さらに連携を深め、とりくみの推進と活性化をめざして合同開催として4年、参加者は高校生・青年・引率者をふくめ700人前後となっている。近年、青年部ではブロックごとの交流会や都府県連同士の交流、他団体との連帯・交流がすすめられているが、全国青年部長会議などでの各都府県連からの発言で、青年部員の減少や部員の高齢化、財源確保の問題が共通の課題として報告されている。定期的に活動をおこなっているところもあれば、青年部が結成できていないところ、青年部結成に向けて動き出しているところなど都府県連によってさまざまな状況がある。現在の高校生・青年の実態や各都府県連青年部の現状を把握し、とりくみ課題を明らかにしながら、すべての都府県連が青年部の結成をめざすとともに、青年部の活性化にとりくんでいかなければならない。
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安倍一強のやりたい放題の政治は、歯止めが利かず、人権と平和を脅かしている。昨年の衆議院総選挙においては、反戦・平和・環境・福祉を基軸として、すべての人がたがいに尊重される社会の実現を求める勢力は分断され、与党などの改憲勢力が3分の2以上の議席を確保するという厳しい結果となり、安倍政権は、憲法改悪に向けた策動を加速させ、「戦争ができる国」づくりをおしすすめている。
選挙権年齢が18歳以上になり、はじめての衆議院総選挙だった。ある出口調査では、18歳・19歳・20代の若い層の半数以上が与党に投票している。部落解放・人権政策の確立と差別を許さない社会の創造と実現に向けて、若者が政治に興味・関心をもち、しっかりと参画していくようとりくみを強化しなければならない。いつの時代も権力をもつ人間が、人びとを分断し、おたがいを対立させ、権力を維持してきた。この仕組みはいまの世も変わらない。部落差別をはじめあらゆる差別が、人びとを分断し、支配することに利用されてきた歴史を決して忘れてはならない。
また、安倍政権のすすめる労働法制の改悪は、非正規就労者を年年増加させ、格差と貧困を拡大し、若年層に深刻な打撃を与えている。昨年11月、国土交通省が2015年の全国都市交通特性調査の結果を発表した。1987年の調査開始いらい、調査対象日に外出した人の割合や1日の移動回数が最低となった。年齢別にみると、20代の外出は減少傾向、70代は増加傾向にあり、20代の1日に移動する平均回数が、70代を下回る結果となった。「車離れ」「ビール離れ」「テレビ離れ」「新聞離れ」「恋愛離れ」など、これまで多くの「若者の〇〇離れ」が話題になってきたが、今回の調査結果から若者の「外出離れ」が明らかになった。インターネットやスマートフォン、宅配便の普及などライフスタイルの変化、非正規就業者の増加が一因とされている。「〇〇離れ」というが、離れざるを得ない、近寄ることすらできない現状には不安定就労や貧困化が大きく影響している。こうした情況のなかで、学業や就労に追われ、部落解放運動になかなか参加できない若年層も少なくない。若年層一人ひとりの置かれている現状をていねいに把握し、つながりをたやさないきめ細かい情報提供などの地道なとりくみも重要になっているのではないだろうか。
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1963年5月1日に発生した狭山事件から55年、無実の石川一雄さんは79歳になり、みえない手錠は外されないままである。今年こそ石川さんの再審の門をこじ開けねばならない。三者協議は35回を重ね、弁護団は197点の新証拠を提出してきた。そのなかでも、これまで重要な証拠とされてきた脅迫状を書いたとされる万年筆が被害者のものではないことを証明した下山・川窪鑑定や読み書き能力の観点から石川さんが脅迫状を書いていないと鑑定した森鑑定、魚住鑑定に続き、脅迫状の筆跡が99・9%石川さんのものでないと科学的に鑑定した福江報告書を提出するなど、弁護団をはじめ、多くの人びとの努力のなかで石川さんの無実が明白になってきている。
これまで各地の青年部がターミナル情宣や学習会、署名活動、現地調査などにとりくんできた。しかし、全高・全青参加者の感想などでも狭山事件を初めて知ったという意見は少なくない。狭山事件を学習し、狭山第3次再審闘争にとりくむことは、石川さんの生いたちをふくめて、部落問題を学習することにつながる。継続した情宣活動や学習会、現地調査など、さまざまな場で狭山事件を学ぶ機会を意図的に設けていくことが必要だ。
また、全高・全青の事前学習や報告集会などをおこなっている都府県連が少なくなっている。参加者からは、基本的なところがわからないという意見も出ている。全国から集まる集会の場での仲間づくりや学習も大切だが、運動の先輩を講師にした事前学習や、女性部との合同の報告集会などにもとりくんでほしい。集まりにくい状況もあるだろうが、工夫しながら積極的にとりくみ、高校生・青年の結集につなげていこう。
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これまでの部落解放運動のとりくみによって、かつてのような日常的に露骨な厳しい差別にさらされているという意識は薄くなっている。しかし、インターネットやSNS上など、陰湿で確信的な人権侵害はあとをたたない。また、進学、就職、結婚といった節目の場面で部落差別に直面するといったことも少なくない。厳しい社会情況のなか、未来に希望をもてない若者も多い。私たちは、運動のなかでいのちの大切さや人と人のつながりのあたたかさ、心強さをよく知り、受け継いできている。それらは、かならず未来への希望につながり、自己実現をめざして生きぬく力になる。
少子高齢化の影響、青年層の地区外流出、財政の問題など、高校生・青年をはじめとする若年層の結集には多くの課題があげられる。「差別のない社会を実現しよう」とよびかけても、物的改善事業や個人的給付事業のおこなわれた「特別措置法」のない時代を生きている若年層には、響かないのかもしれない。部落解放運動は、さまざまな立場の人たちと出会い、意見交流するなかで、多様化する価値観や人権感覚を敏感にとらえ、みずからの人権感覚を見つめ直すことで視野を広げてきた。3月14〜21日「2018フクシマ連帯キャラバン行動」に青年部を中心にとりくむ。エネルギー政策のあり方について考えるとともに、さまざまな職場で働く青年と交流・意見交換のできる機会である。また、3月10日には全国青年運動部長会議をおこなう。各地の現状や活動報告から学ぶとともに、悩みや課題を組織全体で共有し、明確な目的意識をもって高校生・青年の組織化と活性化に向けてとりくみをすすめよう。
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