pagetop

NEWS & 主張

主張

 

立憲主義と平和憲法を守り、すべての市民と連帯して闘い抜こう

「解放新聞」(2018.04.16 -2855)

 昨年10月の衆議院選挙で圧勝した自民党は、翌月に「憲法改正推進本部」を新たにつくり、自衛隊の明記など4項目の党憲法改正案に向けて動き出した。また、安倍首相は、2020年までの改憲を公言し、自民党も年内の改憲発議をめざして憲法改悪に向けた動きを強めている。

 そもそもこの改憲議論は、施行70周年を迎えた昨年5月3日の「憲法記念日」に明らかになった。安倍首相は、読売新聞の単独インタビューに応じて現行憲法の9条1・2項を維持したまま新たに自衛隊の存在を明記する条文を提案し、2020年の改正をめざすと表明した。これを受け、改憲の条文案とりまとめに向けた自民党内での議論が本格化した。

 さらに、今年3月には、自民党の憲法改正推進本部が安倍首相の9条改正案にそって、戦力不保持を定める2項を維持して「自衛隊」を明記する方針を決定した。

 私たちは、多くの市民と連帯し、これ以上の安倍政権の暴走を許さず、憲法改悪と戦争をする国づくりを、絶対に阻止しなければならない。

 憲法9条の戦力不保持を定める2項を維持して新たに「自衛隊」を明記することは、多くの矛盾をふくんでいる。

 現在の憲法9条1項は、戦争と武力による威嚇、武力の行使を放棄するとしており、2項は、戦力を保持しない、交戦権を認めないと結んでいる。つまり、国家権力にたいして戦争と武力による威嚇・武力の行使を放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を命じている。しかし、3項に「自衛隊」が明記されると9条の性格は一変し、国家が軍隊をもつことを憲法が正面から認めることになる。国連憲章51条では、確立された国際法にもとづく自衛のための実力行使に、個別的自衛権も集団的自衛権もふくまれており、軍隊をもち、戦争ができる国になってしまう。

 昨年5月3日の「憲法記念日」の安倍首相のメッセージでは、「今日、災害救助をふくめ、命がけで24時間、365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿にたいして、国民の信頼は9割をこえています。私は少なくとも、私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、自衛隊が違憲かもしれないなどの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます」と発言した。しかし、自衛隊を支持する国民の9割は、集団的自衛権を行使して戦争に加担している自衛隊の姿と東日本大震災などの災害救援にとりくんでいる自衛隊の姿のどちらを信頼しているかは、いうまでもなく明らかだ。むしろ、9条の改悪により集団的自衛権を全面的に行使して、海外での活動を拡大するようになる自衛隊は、大震災などでの災害救援活動をおこなう余裕がなくなるのは、間違いない。

 安倍首相は、9条1項・2項を維持することで、3項に「自衛隊」を明記することの意味を矮小化しようとしている。この改憲案の本質は、憲法違反の「戦争法」の追認と自衛隊の明記により、自衛隊の強化と米国の軍事戦略にもとづく海外派兵・集団的自衛権行使へ踏み出すことであり、絶対に許してはならない。

 私たちは、戦争への道をつきすすむ政府の暴走を阻止するために「戦争をさせない1000人委員会」と連携し、「集団的自衛権」の行使容認の阻止や「戦争法」廃止の闘いにとりくんできた。

 そのなかで、さまざまな立場や意見の違いを乗りこえ、安倍政権と対決する多くの人びとが結集できる共同組織として、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が結成された。

 そして「総がかり行動実行委員会」は、毎月19日行動のとりくみ、「戦争法」にたいする抗議行動・集会、違憲訴訟の支援、「戦争法」の廃止を求める統一署名に、広範囲な人びとを巻き込みながらとりくんできた。

 しかし、安倍政権は暴走の度合いをいっそう強めている。沖縄・辺野古への基地建設、歴史認識の改ざん、貧困と格差の拡大、原発再稼働、そして憲法破壊策動へとつきすすんでいる。「戦争ができる国」へと突進する安倍政権の退陣と政策転換を、何としても実現しなくてはならない。

 「絶対的権力は絶対に腐敗する」の言葉どおり、一強といわれた安倍政権はいま、断末魔の様相を呈している。森友問題での公文書の改ざんは安倍政権の本質の片鱗を露呈したにすぎない。「戦争法」・「共謀罪」など、立憲主義、民主主義を破壊し続けてきた政治と決別するとともに、「9条改正」を目的とする憲法改悪を断固阻止し、人権、平和、環境を実現する政治勢力を今こそ結集しなければならない。

 「総がかり行動実行委員会」は「憲法記念日」の5月3日、「9条改憲NO!平和といのちと人権を!5・3憲法集会2018」(東京・有明防災公園)への大結集をよびかけており、全国各地でも同様のとりくみが準備されている。

 また、3000万筆を目標にした「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」がよびかけられており、「5・3憲法集会」で署名数の中間発表をすることにしている。そのために4月25日を第2次集約日としており、継続したとりくみの強化が必要だ。

 これらのとりくみに幅広い人びとと力をあわせていこう。

 戦争する国づくりをすすめ、新自由主義路線にもとづき貧困と格差を拡大する安倍政権と対決し、立憲主義と平和憲法を守り、人権、平和、民主主義の確立をめざし、すべての市民と連帯して闘い抜こう。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 210円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)