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NEWS & 主張

前川文科次官が記念講演〜「教育機会確保法」では不十分と
識字・日本語連絡会総会

「解放新聞」(2018.06.18-2863)

 【大阪】 識字・日本語連絡会第25回総会と記念講演会が5月26日午後、大阪・HRCビル5階ホールであり、146人が参加した。総会では昨年度活動報告・今年度活動方針などを提案、承認。総会後、大阪市・日之出よみかき教室の特別報告、前文部科学省事務次官の前川喜平さんによる特別講演「「教育機会確保法」を受けて 教育のあり方を考える〜識字・日本語学習の未来を探るために〜」がおこなわれた。

 森実・代表幹事の主催者あいさつ後、大阪府、大阪市、堺市からの来賓を代表して大野広・大阪府教育庁市町村教育室地域教育振興課長があいさつ。2017年度活動報告と5年ほどの方向にもとづく18年度活動方針を森代表幹事が提案、18年度は具体的に①「識字・日本語」という概念の整理と理念の明確化②地域連絡会と教室同士のネットワークの拡大③活動の継承と発展をあげた。柴田亨・事務局長が18年度の年間活動計画案を提案、いずれも承認された。

 特別報告では大阪市内の日之出よみかき教室(木曜日)の活動を映像で紹介後、学習パートナー、教室で最年少の20代男性学習者、母親が登壇。中学校までほとんど通学できなかったが、日之出の教室に1年半通って人と話す機会も増え、「少しずつ強くなってきたかなぁ」と自身をふり返る作文を発表。教室にきて「字も覚えはじめたし、笑顔もちょっと増えた。しゃべることも増え、人と接することもだいぶ慣れた」と笑顔を見せた。母親も「だいぶ明るくなって会話も増え、料理など私が教わることも増えた」と語った。

 前川さんは、特別講演で「憲法第26条の義務教育の規定は「権利」ではなく「義務」だとの誤解を与える。国は、「国民」ではなく国籍に関係なく「個人」に「普通教育」を保障する義務を負う、と将来的には改正した方がいい。夜間中学にはニューカマーが増え、形式的卒業者にも門戸を広げるようにはなったが、あくまで教科教育をおこなう場。その前提となる識字教育、日本語教育には「教育機会確保法」とは別に法律が必要。日本語教育は、それぞれの文化や母語を維持しつつおこなわれるべき。「教育機会確保法」は画期的だが不十分で未完成。3年後に検討しても、いつ必要な措置を講じるとは書かれていない」とのべた。

 

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