「解放新聞」(2018.11.26-2884)
【大阪支局】 「○○駅は士農工商穢多非人の部落。車で犬をひいたらぼこぼこにされたらしい」。大手企業の社員による差別発言事件の糾弾会が10月24日、大阪市・加島支部でひらかれ、事実の関係、差別性について掘りさげるとともに、再発防止に向けた研修のあり方などについて意見をかわした。
事件は今年4月、新年度の社員間の親睦をはかる懇談会の席でおこった。A課長が「いま、どこから通っているのか」と話題をふり、住んでいる地域の治安についての会話となった。
B社員が「○○駅の近くから通っています」と答えたことにたいして、A課長は「○○駅の近くは危ない」と発言。B社員が「親せきから危ないといわれていたが、実際に住むことになったら全然そんなことはなかった」と答えたところ、B課長は「その場所は知ってる。いわゆる士農工商穢多非人の部落といわれる土地で、その場所を車で走って犬をひいたりしたら人がいっぱい出てきてぼこぼこにされたらしい」などと発言した。
その場に同席したC社員が加島支部の支部員で、発言のあった翌日、会社、労組、府連に相談し事実が発覚。その後、4度にわたって事実確認会がひらかれ、糾弾会にいたった。この会社は大阪同和・人権問題企業連絡会の会員企業のグループ会社。
糾弾会には発言をおこなったA課長、代表取締役社長、親会社の取締役人事部長はじめ役員らが出席。府連からは赤井隆史・委員長はじめ役員と加島支部の役員らが出席した。
冒頭、赤井委員長は「先進的に人権問題にとりくんできた会社のグループ会社でおこった事件。非常に残念に思う。背景、問題点を浮き彫りにして課題を整理したい」とあいさつ。
親会社の人事部長は「あってはならない発言でグループとしておわびしたい。あらゆる差別を許さない企業をめざしてとりくんできたが、全社員に徹底できていなかった」、差別事件をおこした企業の社長は「深く傷つけたことをおわびする。長年とりくんできたが痛恨の極み。会社をあげてとりくんでいきたい」とのべた。
A課長は「社員がその近くにいって危ない目にあわないようにと、良かれと思って発言してしまった」「その場に部落出身者がいる可能性はないと思って発言していた」などとのべた。子どものころに母親などから聞いた話が今回の発言につながったという。
また、同社では毎年、人権・同和研修を実施しており、A課長も受講していた。このため、今後の研修に活かすため全社をあげて人権意識に関するアンケート調査にとりくむことを表明した。
府連からは、あらためて反省文をまとめる▽事件を教訓に人権基本方針・研修計画を策定▽社員アンケートは法務省の意識調査をふまえた内容にする▽フィールドワークなど部落問題を体感できる研修にとりくむ▽公正採用人権啓発推進センターに加盟し学習を深めるなど求めた。
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