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憲法改悪阻止に向けて、差別と戦争に反対する闘いを強化しよう

「解放新聞」(2019.01.14-2890)

 昨年12月21日に19年度政府予算案が閣議決定された。予算案の一般会計総額は約101兆4564億円と初めて100兆円をこえたが、社会保障費を抑制するとともに、軍事費は5兆円をこえ、5年連続で過去最高を更新した。さらに、非現金決済(キャッシュレス)にたいするポイント還元など、10月の消費税10%強行への増税対策、景気浮揚策として約2800億円を計上している。

 安倍政権は、昨年の臨時国会で、憲法改悪に向けた自民党案の提示を画策したが、憲法改悪阻止の広範な闘いと、世論の強い反発で断念した。しかし、安倍首相は2020年に改悪した憲法の施行に固執しており、私たちは、憲法改悪に反対する闘いをさらに強めていかなければならない。

 この間、2014年7月の集団的自衛権容認の閣議決定をはじめ、「特定秘密保護法」「戦争法」「共謀罪」創設の強行など、安倍政権は強引な手法で、憲法違反の「戦争をする国」づくりをすすめてきた。まさに憲法改悪の先取りである。5兆円をこえる軍事費増大は、昨年12月18日に閣議決定された「防衛計画の大綱」と、19年度から5年間の武器調達計画である「中期防衛力整備計画」を実行するためである。

 とくに、海上自衛隊の護衛艦である「いずも」を改修し、米国から購入した戦闘機を配備する「攻撃型空母」として運用するとしている。「攻撃型空母」を保有することは「専守防衛」としてきた自衛隊を、米国とともに戦争行為のできる軍隊に変貌させることであり、明らかな憲法違反である。そのほかにも、米国の要求通りに高額な兵器を購入するなど、米国追従を深め、日米軍事同盟をますます強化しようとしている。

 軍事費の増大について、安倍政権は朝鮮民主主義人民共和国や中国の軍事的な脅威を口実にしてきたが、昨年、南北朝鮮の首脳会談や歴史的な米朝会談などが実現し、朝鮮半島情勢をふくめた北東アジアでの和解と対話を基調にした平和的外交がすすめられている。こうした安倍政権の軍事大国化路線を許さず、「戦争をする国」づくりに反対する広範な闘いをすすめよう。

 2016年12月に「部落差別解消推進法」が施行され2年以上が経過した。この間、「部落差別解消推進法」の具体化に向けて、政府各省交渉や与野党国会議員への要請をはじめ、都府県・市区町村交渉などをすすめてきた。また、条例づくり、改正のとりくみでは、兵庫県たつの市と加東市で条例が制定された。さらに、宮崎県えびの市や高知県土佐市での人権条例制定のほか、福岡県小郡市、飯塚市、大分県豊後大野市、豊後高田市、玖珠町、九重町、熊本県菊池市などでの「部落差別解消推進法」をふまえた人権条例の改正がおこなわれた。

 昨年12月21日には、東京都国立市で「人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例」が可決された。この条例は、すべての人を社会の一員として包摂すること(ソーシャル・インクルージョン)を基本理念として、部落出身者をはじめ、民族、性別、障害、性的指向などを具体的に例示し、差別を禁止している。罰則はないものの、市長の諮問機関が救済策を検討し、実施するなどの救済措置も明記されている。

 このように、自治体での「部落差別解消推進法」具体化では、条例づくりや改正のとりくみで成果をあげてきた。継続してとりくんできた法の周知も、ポスターやリーフレットなどを活用してすすめられてきた。一方、政府各省では、法務省をはじめ、文部科学省、厚生労働省、総務省などでは、法を活用した積極的な施策がすすめられているとはいえない。政府各省にたいする課題を明確にして、さらにとりくみを強めよう。

 とくに「部落差別解消推進法」第6条の部落差別に係る実態調査は、法務省が中心となって、本年に実施される。これまで調査項目、調査サンプル数などについて要請をしてきたが、今後の部落差別撤廃に役立つ施策の確立に向けた実態調査になるようにするべきである。また、部落差別事象についての自治体への照会がおこなわれる。自治体、教育委員会などにたいして、しっかりと回答するように要請していこう。

 これまで「ヘイトスピーチ解消法」「障害者差別解消法」が制定され、今後、アイヌ民族や性的少数者(LGBTQ)などに関する法的措置が検討されている。こうした個別人権課題でのとりくみをふまえ、差別禁止をふくむ人権委員会設置などの包括的な人権の法制度確立に向けた協働のとりくみをすすめよう。

 部落差別事件では、「部落差別解消推進法」第1条にもあるように、高度情報化時代のなかで、インターネット上の差別情報の氾濫が深刻になっている。鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争では、いよいよ証人尋問がはじまる。ヘイトスピーチと同様に、差別を公然と煽動する鳥取ループ・示現舎の言動を許さず、裁判闘争に勝利しよう。

 さらに、同じ鳥取ループ・示現舎による「部落探訪」は、復刻版出版禁止の仮処分が出された「全国部落調査」を利用して、全国の被差別部落を写真付きで、インターネット上に公開している。そのなかには、未組織部落もふくまれており、きわめて悪質だ。自治体や法務局への削除要請にとりくんでいこう。

 狭山再審闘争では、弁護団が万年筆や脅迫状にかかわって、石川一雄さんの無実を科学的に証明した新証拠を提出している。

 インクにふくまれる元素を分析し、石川さんの「自白」によって発見された万年筆が被害者のものではないと明らかにした「下山第2鑑定」や、コンピュータによる脅迫状の筆跡鑑定によって、脅迫状の筆跡は別人のものであるとした「福江鑑定」など、重要な新証拠である。こうした新証拠の学習や情宣活動をすすめ、全国各地で石川さんの無実を訴え、再審実現に向けた世論を大きく拡げていこう。狭山事件は部落差別にもとづくえん罪である。「狭山の勝利なくして部落の完全解放なし」の原点を再確認して、狭山再審をかちとるために、全証拠開示と事実調べの要請ハガキ、現地調査のとりくみなどをすすめよう。

 また、5月には天皇代替わりがある。「貴族あれば賤族あり」とした部落解放運動の立場を明確にしながら、天皇制の強化や政治利用に反対するとりくみが求められている。さらに、昨年末の沖縄・辺野古での新基地建設に向けた土砂投入は、新基地建設反対の知事を当選させた沖縄県民の民意をまったく無視する暴挙である。在日米軍基地の約75%が沖縄に集中する事実こそが、沖縄にたいする差別構造そのものである。

 しかも安倍政権は、沖縄振興予算を据え置きしながら、沖縄県を経由せずに直接県内の市町村に交付する「沖縄振興特定事業推進費」を新設、30億円を予算計上するなど、国への従属を強制している。また、東日本大震災での原発事故が収束していないにもかかわらず、拙速な原発の再稼働をすすめている。しかし、安倍首相自身が率先してきた原発の輸出では、トルコ、イギリスなどでの計画中止が続いている。

 安倍政権は、これまでも「働き方改革」という長時間労働の合法化とともに、「種子法」廃止や「漁業法」「水道法」「入国管理法」の改悪を強行してきた。まさに私たちがすすめてきた差別と貧困の根絶に向けた、いのちと生活を守るとりくみに逆行する政治である。その総仕上げとして安倍政権が強行しようとしているのが、米軍とともに自衛隊が戦争に加担できるようにするための憲法改悪である。

 今年は統一自治体選挙と参議院選挙が実施される。いずれの選挙も人権と平和の確立に向けた政治勢力を結集していく重要なとりくみである。組織内候補、推薦候補の勝利のために全力でとりくみをすすめよう。

 今年の闘いは、部落解放運動にとって重要な課題が山積している。差別と戦争に反対する協働の闘いをすすめ、統一と団結の力で部落解放運動の勝利の年にするためにともに奮闘しよう。

 

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