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安倍政権による差別ー分断を許さず、沖縄の闘いに連帯しよう

「解放新聞」(2019.02.18-2895)

 「いかにも年寄りが悪いみたいなことをいっている変な野郎がいっぱいいるけれど、間違っていますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」。

 2月3日に、福岡県でおこなった支持者の会合での、少子高齢化問題を取り上げた麻生太郎・財務大臣の発言である。翌日の衆議院予算委員会で追及され、発言を撤回、陳謝した。麻生財務大臣は2014年12月の衆議院選挙の演説でも、社会保障費の増大について「高齢者が悪いというようなイメージをつくっている人が多いが、子どもを産まないのが問題だ」と発言、厳しく批判されている。3日の会合には、高齢者の支持者が多く、こうした発言が出たのだろうか。

 一方、麻生大臣には、高齢者などの終末期高額医療費に関連し、2013年1月の社会保障制度改革国民会議での「死にたいと思っても生きられる。政府の金で(高額医療を)やっていると思うと目覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」との暴言もある。これでは、子どもを産まない女性も、高額医療にかかる高齢者も、麻生大臣にとっては、国に貢献しない邪魔な存在でしかないのだろう。かつて麻生大臣は1983年2月の高知県議選の応援演説で「東京で美濃部革新都政が(1967年に)誕生したのは、婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」との女性差別発言もある。

 この間の安倍政権のもとでの麻生大臣の差別暴言は、まさに、この政権の反人権主義、差別排外主義の本質を露呈したものである。しかも国への貢献とは、今日の安倍政権がすすめる戦後レジーム(政治体制)からの脱却としての「戦争をする国」への協力である。

 まさに軍事大国化をすすめ、米国への従属を深めながら、アジアでの覇権を確立しようとするものである。そのために戦前回帰としての国家への従属を求めるものとしてある、一連の差別暴言を許してならない。

 今日、こうした安倍政権と鋭く対決をしているのが沖縄・辺野古の新基地建設反対の闘いである。

 安倍政権は、この間の国政選挙、県知事選挙で示された沖縄県民の民意をまったく無視し、新基地建設を強行しようとしている。昨年末の沖縄・辺野古での新基地建設に向けた土砂投入の暴挙だけでなく、反対運動をすすめる人物リストを作成し、違法に個人情報を収集していることも明らかになっている。また、威力業務妨害などで逮捕された沖縄県平和運動センター議長にたいする5か月もの長期勾留については、昨年8月に国連の恣意的拘束に関する作業部会が、政治的な背景から当局が差別的な措置をとったとみられるとして「国際人権規約」に違反しているとの見解を正式に日本政府に伝えている。

 さらに安倍政権は、県知事選で敗北したことで、沖縄振興予算を据え置きしながら、沖縄県を経由せずに直接県内の市町村に交付する「沖縄振興特定事業推進費」で30億円を予算計上するなど、市町村にたいして、新基地建設に向けた国への従属を強制している。あくまでも米国のために、日本の軍事大国化のために、沖縄にあらゆる犠牲を強制している。

 沖縄県には、在日米軍基地の約75%が集中している。しかも、この米軍基地の存在は、米国と日本政府によって押しつけられたものであり、その事実こそが、沖縄にたいする差別構造そのものである。しかも沖縄では、米軍海兵隊員をふくむ基地関係者による少女強姦や殺人、窃盗、飲酒運転など、凶悪犯罪がくり返されている。さらに墜落事故や騒音など日常生活を脅かす深刻な問題も放置されたままである。

 1903年には「人類館」事件がおきている。大阪での「第5回内国勧業博覧会」に関連して、「7種の土人」として、沖縄県民が琉球人として、朝鮮人、アイヌ民族などとともに、民族衣装姿で展示された差別事件である。こうした沖縄県民にたいする差別は過去のものではなく、1980年代でも「沖縄人お断り」などの張り紙をした飲食店や不動産業者などがあったことや、2016年には、沖縄県高江のヘリパッド建設に反対する人たちに、大阪府警の20代の機動隊員が「土人」「シナ人」と差別暴言を浴びせるなど、いまだに続いている。

 沖縄の地上戦で、多くの住民の犠牲を強いてきた反省もなく、敗戦後も沖縄への米軍基地の集中を押しつけ続けてきたことは、いまだに沖縄には憲法の理念が実現していないことでもある。この沖縄の現実は、われわれの闘いの弱さでもあり、このことと、しっかりと向き合わなければならない。

 昨年12月の辺野古新基地建設に向けた沿岸部への土砂投入の強行について、安倍首相は、1月のテレビ番組で「土砂を投入していくにあたって、あそこの珊瑚については移している。また、絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、これは砂をさらって、しっかりと別の浜に移していくという環境の負担を抑える努力もしながらおこなっている」と、事実でないことを発言した。玉城デニー・沖縄県知事は「現実はそうなっておりません。だから私たちは問題を提起しているのです」と批判した。さらに、新基地建設予定地の軟弱地盤問題では、最深90メートルの層になっており、地盤改良工事で、7万本以上の砂杭が必要であることが判明した。なお、この工事をおこなうための地盤改良船は日本には存在しない。このように違法な工事をすすめているだけでなく、技術的にも新基地建設は不可能である。

 しかし、安倍首相自身が虚偽の説明で、違法であり技術的にも不可能な新基地建設を正当化しようとしているのである。そもそも、沖縄防衛局は、土砂投入区域には珊瑚が存在していないという見解を表明している。これでは、安倍首相の説明する「あそこの珊瑚」そのものが理解不能である。2月24日には、さまざまな困難を乗りこえ、新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票が実施される。県民投票で、あらためて新基地建設反対の民意が示されるように、沖縄の闘いへの支援を強めよう。

 安倍首相は、東京オリンピック招致のときも、東日本大震災での福島原発事故について「アンダーコントロール(管理下に置いており)」と明言、「今までも現在も過去も安全」と強調した。このウソを正当化するために、被災者への財政支援を打ち切り、除染解除と強制帰還をすすめている。また、国会でも取りあげられてきた森友学園や加計学園などについても、「まったく関与していない」などとして、一連の疑惑への説明はいっさいない。

 この間、厚生労働省が賃金や労働時間を調査する「毎月勤労統計」での組織的な不正が明らかになった。さらに、各省のさまざまな統計調査でも同様の不正が判明している。まさに政官ともに、ウソとごまかしが日常化している。とくにアベノミクスの成果としてきた実質賃金の上昇も、その根拠を失っている。ここでも安倍首相は、ウソとごまかしで居直っている。しかし、米中貿易摩擦の激化で株価も低迷し、日本銀行による「異次元の金融緩和」で好景気を演出してきただけのアベノミクスの失敗は明らかだ。「女性の輝く社会」と謳いながら、閣僚の女性差別発言が続き、性的少数者(LGBTQ)にたいする一連の自民党国会議員の差別発言にいたっては「1億総活躍社会の実現」の理念を否定するものでしかない。

 今年は、4月に統一自治体選挙があり、7月には参議院選挙がおこなわれる。安倍政権の弾圧と暴挙にいっさい怯まず、安倍政権と厳しく対峙する沖縄の闘いとの連帯は、まずはわれわれ自身が安倍政権を退陣に追い込む闘いに全力をあげることである。

 人間を冒涜してはならぬことを識り、人の世の冷たさのなかで、部落差別の撤廃と人間解放の使命を自覚するわれわれこそが、沖縄の痛みとともに在り、その闘いに深く連帯しよう。

 

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