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第76回全国大会の成功をふまえ、差別と戦争に反対する
部落解放運動を大きく前進させよう

「解放新聞」(2019.04.01-2901)

 3月2日から2日間の日程で開催した第76回全国大会は、分散会討論、全体発言を受けた書記長の本部答弁と集約で示された一般運動方針の一部補足修正をふくめ、今後1年間の闘いの基本方向を確認、決定した。

 分散会討論や全体発言では、「部落差別解消推進法」具体化、狭山再審闘争の闘い、鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争とインターネット上の部落差別情報への対策や、統一自治体選挙と参議院選挙など、当面の闘いの課題について、全国の具体的な実践報告を中心に、これからの部落解放運動の闘いを強化していくための方策など、多くの代議員からの発言や提案があった。また、部落解放運動をとりまく今日的な情勢把握についても、厳しい意見が出された。

 とくに安倍政権がすすめる憲法改悪をはじめとする「戦争をする国」づくりとの闘いでは、全国各地での1000人委員会のとりくみを中心に、幅広い共闘運動がすすめられていることが報告された。

 米国からの要求どおりに高額な兵器を購入し、在日米軍への優遇措置を続ける安倍政権は、対米従属という日米軍事同盟をいっそう強化しながら、強硬外交による中国や韓国、北朝鮮との対立を深めることによって、これまで以上に軍事費を増大させている。一方、実体経済が回復しないまま、株価高騰による見せかけの景気回復を成果にしてきたアベノミクスの失敗はすでに明らかになっている。実質賃金の低下と非正規労働者の増大、社会保障費の削減、10月から予定されている消費税10%などで、貧困と格差の拡大、固定化がますます深刻化している。

 こうした安倍政権の「戦争をする国」づくりと憲法改悪を阻止するために、われわれは、全国大会でも確認したように、現在とりくまれている統一自治体選挙での組織内、推薦候補の必勝に全力をあげよう。この選挙闘争に勝利し、7月の参議院選挙においても、憲法改悪阻止と人権・平和・民主主義の確立に向けた政治勢力を大きく結集させ、政治の変革をかちとることが当面の重要な闘いの課題である。

 「部落差別解消推進法」具体化のとりくみでは、この間、愛知、兵庫、高知、福岡、大分、熊本、宮崎など、全国の市町村で条例の制定、改正がすすめられてきた。2月には、福岡県で95年にできた「部落差別事象発生防止条例」を全面改正し、「部落差別解消推進法」制定をふまえて、相談体制の充実や実態調査などを盛り込んだ「部落差別解消推進条例」が可決された。

 さらに3月には、奈良県で「部落差別解消推進条例」が制定され、兵庫県たつの市、加東市に続いて、都道府県段階では初めての条例制定となった。ほかにも、昨年12月には、東京都国立市で、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)を基本理念として、包括的な差別禁止を明示した「平和人権条例」が可決されるなど、全国で条例づくりのとりくみがすすんでいる。条例の制定、改正については一部で反対意見もあるが、インターネット上の部落差別情報の氾濫や結婚差別など、深刻な部落差別の実態と向き合えず、市民社会のなかでこうした差別を包囲し解消していくことを期待するというのでは、あまりにも無責任である。

 教育現場で明らかになっているように、2000年に「人権教育・啓発推進法」が制定されたが、特別措置法の終了後の2002年以降、人権教育のなかで、具体的な部落差別などの個別人権課題の学習が後景化し、差別語をたんに使用してはいけない程度の学習で、逆に実際の部落差別の実態を学んでいないために、相手を攻撃したり、傷つける効果のある言葉として差別語を使う差別事件が多発している。部落差別の実態を学ばず、当事者の痛みに共感する想像力の欠如が、今日のインターネット上の差別情報の氾濫にもつながっているのである。

 こうした市民社会の差別意識の実態のなかで、どのようにして差別事象を包囲し解消していけるのだろうか。だからこそ、差別意識の現実をふまえて「部落差別解消推進法」では、国や自治体が教育・啓発の推進に向けた施策の必要性を明記しているのである。

 インターネット上の部落差別情報への対策では、鳥取ループ・示現舎にたいする裁判闘争の闘いについても多くの意見が出された。現在、非公開の進行協議が続いているが、年内には口頭弁論が再開され、証人尋問で原告側の訴えがおこなわれる。鳥取ループ・示現舎は、最近では研究目的であるとか、部落差別解消のためであるなどとしているが、こうした居直りを許さず、裁判闘争の完全勝利に向けて全力で闘おう。

 なお、同じく鳥取ループ・示現舎による「部落探訪」は、掲載する記事の上に「部落差別解消推進」と記載するなどの悪質な小細工をしているが、この間の全国的なとりくみによって、東京法務局が削除要請をしている。これまでは個人が特定されなければ、削除要請がされなかったが、今回は、特定の地区を被差別部落として掲載することが、差別を助長するおそれがあるという見解のもとでの措置である。かつて復刻版を出版しようとして、東京法務局から説示を受けた「全国部落調査」にもとづいて、未組織部落をふくめて画像を掲載していることから、今回の措置は当然であるが、ひき続き、法務局による説示などの措置を求めていかなければならない。

 また、統一自治体選挙に関連して、「在特会」に関係している日本第一党の候補者が選挙運動としておこなうヘイトスピーチへの対応についても意見が多く出された。この間、公的施設使用を制限するガイドラインや「公園条例」の改正などがとりくまれてきたが、選挙運動では「公職選挙法」の規定を悪用してヘイトスピーチがくり返されてきた。今回、法務省は、選挙運動でのヘイトスピーチも「公職選挙法」との関係があるが、演説内容で判断して、人権侵犯事件として対応するという見解を全国の法務局に通知している。

 「部落差別解消推進法」や「ヘイトスピーチ解消法」の具体化に向けたとりくみの成果である。さらに部落差別やヘイスピーチを許さないとりくみを強めよう。

 狭山再審闘争では、石川一雄さんが無実を訴えて半世紀以上が経過した。第3次再審では、弁護団が万年筆や脅迫状にかかわって、石川一雄さんの無実を科学的に証明する新証拠を提出している。

 インクにふくまれる元素を分析し、石川さんの「自白」によって発見された万年筆が被害者のものではないと明らかにした「下山第2鑑定」や、コンピュータによる脅迫状の筆跡鑑定によって、脅迫状の筆跡は別人のものであるとした「福江鑑定」など重要な新証拠である。「福江鑑定」にたいする検察側反証には、すでに福江意見書などで反論しているが、こうした新証拠の学習や情宣活動をすすめ、部落差別にもとづくえん罪である石川さんの無実を訴えていこう。昨年は、九州ブロック、中国・四国と近畿・東海・北陸ブロックの合同で、それぞれ新聞意見広告にとりくんだ。全国大会では、今年の5月の市民集会にあわせて、関東・甲信越ブロックが意見広告にとりくんでいることも報告された。

 石川さんの無実は明白である。再審開始に向けた世論をいっそう大きくしよう。

 さらに、全国大会では、天皇代替わりをめぐる天皇制の強化にたいする闘い、青年部を中心にした組織の拡大・強化、男女平等社会の実現に向けた組織内学習の必要性、宗教教団、とくに真宗教団の経典にある「是旃陀羅」問題について多くの意見が出され、とりくみの強化が論議された。運動方針にもとづき、書記長集約を基本にしながら、各地でのとりくみをすすめよう。

 3年後には、全国水平社創立100周年を迎える。統一と団結の力で、部落解放運動を大きく前進させ、「佳き日」をめざして、ともに奮闘しよう。

 

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