「解放新聞」(2019.04.15-2903)
大阪市による訴訟をかかえて自主運営が続く大阪人権博物館(リバティおおさか)を3月22日、北欧から視察団が訪問した。訪れたのは、在日ノルウェー大使をふくめノルウェー国家家族・文化常任委員会訪問団13人。女性の政治参加がすすむ国だけに9人までが女性。リバティの設立からの歴史と現状、部落問題をはじめとする日本の差別問題に関して館長の朝治武さんから説明を聞いたのち、展示を順に見て回りながら部落問題などの解説を受けた。限られた時間のなかで、大阪府市がリバティへの補助を打ち切った現状についても、「言論の自由に抵触しないのか」など、熱心な質問があいついだ。
朝治さんは①博物館設立の経緯②展示構成③部落やアイヌへの差別と子どもにとっての館④文化の重要性に関する館活動を説明。展示見学には、館の元学芸員の太田恭治さん、浪速支部支部長の浅居明彦さんも同行し、部落と部落外の結婚時の差別などの質問にも、具体例を交えながら答えた。見学を終え、ノルウェー国家家族・文化常任委員会委員長のクリスティン・ウルメン・ヨンセンさんは「ノルウェーでもアイヌや部落への差別と同様の差別があり、意識を変えるには長い時間がかかった。現在も暴力を使ってより注目を集めようとするヘイトスピーチなどを懸念している。政治家は法律をつくらなければならないが、法律がすべてではない。頭のなかを変えていくために、子どもたちには過去と将来を示してくれる博物館が重要。働く人びとに感謝したい」と感想をのべた。
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