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部落解放・人権政策確立に向けて第1次中央集会に結集しよう

「解放新聞」(2019.04.29-2905)

 統一自治体選挙が終わった。都府県連・地区協議会・支部の奮闘で、組織内と推薦候補の多くが当選をかちとった。組織内候補では、広島県議選、堺市議選で組織内議員が惜敗したものの、滋賀や京都、奈良、和歌山、兵庫、鳥取、福岡の府県議、大阪市と福岡市の政令市議会選挙では組織内候補が当選したほか、市区町村の組織内や推薦候補もそれぞれ当選をかちとった。

 さらに、衆議院補欠選挙では、大阪12区は維新、沖縄3区はオール沖縄の候補が当選した。7月には参議院選挙が実施される予定で、自民・公明と維新という、改憲をめぐる多数派獲得の思惑や、野党側の1人区での候補者一本化、衆参同日選挙など、さまざまな動きが報道されている。われわれは、改憲阻止のために、参議院選挙での人権・平和・民主主義の確立に向けた政治勢力の伸張をめざして、とくに全国比例での推薦候補の当選に向けて全力をあげてとりくもう。

 この間、福岡県での「部落差別防止条例」を「部落差別解消推進法」をふまえて全面改正した県条例や奈良県での新しい条例が制定された。市町村段階でも、高知市や和歌山県湯浅町で条例が制定され、大分県内の市町村をはじめ、各地での条例改正もすすんでおり、「部落差別解消推進法」の具体化に向けた条例づくりでは全国的に成果があがっている。

 条例では「部落差別解消推進法」が明記しているように、部落差別は許されないものとして、それぞれ部落問題解決に向けた相談体制の充実、教育・啓発の推進をはじめ、「基本計画」策定や実態調査の実施、審議会の設置など、自治体でとりくむべき課題がとりあげられている。

 東京都国立市で制定された「人権平和基本条例」などでも、条例づくりでは自治体議員の活動が大きな役割を果たしている。党派や会派をこえて、人権や差別問題にとりくむ自治体議員のネットワークづくりをすすめ、条例づくりなど、地域での「部落差別解消推進法」を具体化する活動を前進させよう。

 「部落差別解消推進法」制定をめぐる国会審議でもとりあげられたが、インターネット上の部落差別情報の氾濫は深刻な状況である。この問題については、法務省人権擁護局が、その対応策について全国の法務局などに通知を出した。昨年12月27日付の「インターネット上の同和地区に関する識別情報の摘示事案の立件及び処理について」では、これまでは人権侵害の対象と特定される個人が申し立てなければ、人権侵犯事案として取り扱わなかったことをあらため、しかもそうした記事のなかに「部落差別解消推進」などと記載し、あたかも部落問題の解決に向けた内容であるかのような体裁であっても、特定の地区を被差別部落(同和地区)とすることは「人権侵害のおそれが高い、すなわち違法性のあるものであるということができる」と明記している。

 こうした見解は、この間、全国でとりくんできた鳥取ループ・示現舎による「部落探訪」にたいする法務局への申し入れ行動の成果である。鳥取ループ・示現舎は、われわれが出版差し止めを求めて提訴している「全国部落調査」をもとに、未指定地区や未組織部落をふくめた全国の被差別部落を興味本位に暴露し続けている。しかも、この通知では学術・研究の場合を特例としていることから、最近の「部落探訪」では、記事の冒頭をいままでの「部落差別解消推進」から「学術・研究:部落探訪」に変更して掲載している。

 しかし、「部落探訪」が学術や研究目的でないことは明らかである。被差別部落の所在地を面白半分に掲載するだけで、そこには部落問題の解決に向けたとりくみへの共感もなく、何よりも部落差別に苦しみ、傷つき悲しむことへの想像力の欠片もない。「全国部落調査」復刻版出版にたいしては、2016年3月に東京法務局が鳥取ループ・示現舎に人権侵犯事案として説示している。今回の通知をふまえて、法務省が「部落探訪」について、あらためて人権侵犯事案として説示なり、さらに厳しい措置を取るようにさらにとりくみを強めていこう。

 「部落差別解消推進法」第6条では、今後の施策推進のために、部落差別の実態把握をすすめることとしている。この間、法務省から委託を受けた(公財)人権教育啓発推進センターは、有識者会議を設置し検討をすすめ、「法務省の人権擁護機関が把握する差別事例の調査」「国民意識調査」「インターネット上の部落差別情報の調査」と「地方公共団体や教育委員会が把握する部落差別事例の調査」を実施するように提言してきた。法務省は2月7日付で、全国の自治体や教育委員会にたいして、把握している2014年から5年間の部落差別事例の報告を要請している。われわれは、正確な調査報告をするように、全国の自治体や教育委員会への要請にとりくんでいる。集約は5月末になっている。あらためて自治体や教育委員会にたいするとりくみを強めよう。

 また、「国民意識調査」については、3月26日の衆議院法務委員会での松田功・議員(立憲)の質問にたいして、高嶋智光・法務省人権擁護局長(当時)は、サンプル数は1万人であること、調査員が直接、調査対象者に口頭で調査の趣旨を説明し、調査票を配付し、後日回収するという調査方法であると答弁している。なお、調査時期は、今年度中としているが、設問項目はまだ明らかにされていない。ただ、サンプル数が1万であり、回収率の問題もあるが、市区町村段階での部落差別にかかわる意識調査を正確に示すものとはならない。調査項目が明らかにされて以降、都府県や市区町村にたいして同じ設問項目での実態調査にとりくむように要求していこう。

 この間、条例づくりや実態調査にたいして、一部ではあるが反対の動きがある。「部落差別を固定化」するなどという反対のための反対は論外として、部落差別問題はおおむね解決しており、市民の良識で差別を克服していくべきであるという主張もある。しかし、今日の部落差別の実態は、この差別を生み出す市民意識が問題とされているのであり、そのために「部落差別解消推進法」では、教育・啓発の推進が必要であるとされているのである。また、生活実態をふくむ調査についても、すでに地区はなくなっているとの反対がある。特別措置法時代に同和対策事業を実施するための地区指定は法の終了とともに解消されたが、歴史的社会的に形成されてきた被差別部落の存在がなくなったわけではない。結婚差別や土地問い合わせ差別事件などが続発しているなかで、このような部落差別の実態を無視する無責任な反対論をのりこえ、「部落差別解消推進法」の具体化にとりくもう。

 5月の第1次中央集会では、この間のとりくみの成果と今後の活動の方向を確認し、国会議員要請、政府各省交渉を実施する。各地での実行委員会運動を強化しながら、第1次中央集会に結集しよう。

 

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