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反差別国際運動の30年とこれから〜総会に向けて〜

「解放新聞」(2019.05.20-2907)

 反差別国際運動(IMADR)は2019年6月6日、第31回総会を日比谷図書館コンベンションホールで開催する。運動の30年をふり返り、これからの展望を切り拓く大切な総会になる。IMADRの総会に結集し、国際連帯活動のいっそうの発展をめざそう。

 全国水平社からはじまる部落解放運動は国際連帯活動として「世界の水平運動」を求め、韓国の衡平社やインドのダリットとの連帯を実現した。あらゆる差別の撤廃には国内外で差別を受けている人びとが立ち上がり、連帯し、国や国連に働きかけて人権の仕組みを強化していくことが重要として、部落解放同盟がよびかけ、国内外の被差別団体や個人によって1988年にIMADRは設立された。1993年、日本に基盤をもつ人権NGOとしては初めて国連経済社会理事会との協議資格を取得した。2008年には特別協議資格に昇格した。ジュネーブに事務所をもち、国連機関などに働きかけ、国内のNGOが国連に働きかけるさいには拠点になってきた。部落問題をはじめアイヌ民族、琉球・沖縄の人びと、在日コリアンなど日本の旧植民地出身者およびその子孫、移住労働者・外国人などにたいする差別にとりくみ、これらの属性をもつ女性への複合差別もとりくみ課題としている。活動はアメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカに広がっていて、正会員・賛助会員は59団体、152個人である。

 活動領域は、①ダリット・部落差別の撤廃、②人種差別撤廃とマイノリティ・先住民族の権利確立、③国際人権保障制度の発展とマイノリティによる活用の促進、④ビジネスと人権に広がっている。

 ①ダリット・部落差別の撤廃では、人種差別撤廃委員会の一般的勧告29をふまえて、世系差別撤廃をめざすための地域、国内、国連各レベルでのとりくむべき課題を担う。「条約の「世系」に部落問題やカースト差別は含まない」とする当該国政府の見解の変更を求めることは喫緊の課題である。部落解放運動、ダリット権利運動、国際人権組織、研究機関、国連人権機関などと協力しながら、国連「世系に基づく差別撤廃のためのガイダンス・ツール」をもとに課題に挑む。とくに国連人権理事会での「世系に基づく差別」に関する特別報告者を選任させることは重要である。国際社会での連携はアジア・ダリット権利フォーラム(ADRF)や国際ダリット連帯ネットワーク(ISDN)、ネパールのフェミニスト・ダリット協会(FEDO)と継続していく。東アジア地域では、人種差別に関する国連特別報告者と連携して地域協議会(韓国・香港・台湾)の創設を追求していく。

 ②人種差別撤廃とマイノリティ・先住民族の権利確立では、人種差別撤廃委員会の日本審査で、人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)の事務局を担う。委員会への働きかけが功を奏して、多くの課題について踏み込んだ勧告を引き出すことができるようになった。顕在化する人種差別やヘイトクライムに対応するためにも、勧告の実施を政府に促す活動を強化することが求められている。とくに包括的差別禁止法の制定をめざす。
 マイノリティ女性の複合差別の問題は、国際人権保障における中心的課題である。とくにダリットをはじめマイノリティ女性にたいする差別や暴力の問題に連帯してとりくむ。
 先住民族の権利確立では、2019年は国際先住民族言語年であるので、消滅の危機にあるとユネスコから警告されているアイヌ語や琉球諸語などをとりあげるセミナーを開催する。「アイヌ新法」が「先住民族の権利宣言」にそったアイヌ政策の礎になるように支援する。

 ③国際人権保障制度の発展とマイノリティによる活用の促進では、ジュネーブ事務所が人種差別撤廃委員会・人権理事会に参加し、審査状況に関する情報発信をすることで、国連の活動とNGOの活動を結びつける役割を担う。ジュネーブで課題別のサイドイベントの開催、共同声明、NGOネットワークに参加している構成員へのトレーニング活動にも精力的にとりくむ。
 司法における人種主義の撤廃では、狭山事件について、国際的な視点から訴え、再審闘争に連帯する。法曹関係者に国際人権法の活用を促進するワークショップを提供していく。

 ④ビジネスと人権では、企業にとって関心の高い持続可能な開発目標(SDGs)の視点から、「人種差別撤廃条約」および「世系に基づく差別撤廃のためのガイダンス・ツール」を活用して、企業と連携・協議する。

 IMADRは設立30年を機に日本委員会と国際委員会を統合し、新たな体制で組織運営をしている。IMADR設立いらい、指導的役割を担ってきた共同代表理事ニマルカ・フェルナンドさん(弁護士・スリランカ)と武者小路公秀さん(国際政治学者)が名誉代表理事に退いた。新たに代表理事は組坂繁之さん(部落解放同盟中央執行委員長)に、副代表理事はひき続きマリオ・ホルヘ・ユーツィスさん(元国連人種差別撤廃委員・アルゼンチン)に就任してもらうことになった。新たな理事にエレーヌ・ザックスタインさん(ジェンダーと子どもの保護専門家・フランス)とアナスタシア・クリックリーさん(元国連人種差別撤廃委員・アイルランド)に加わってもらった。事務局体制も整備、強化し、東京・大阪・沖縄・ジュネーブをスカイプでつないで、合同事務局会議をする。特定の課題について、特別研究員の専門的な支援を要請する。「IMADR通信」やブックレット、「現代世界と人権」シリーズ『レイシズム ヘイトスピーチと闘う』など出版広報活動にも力を注ぐ。SNS・動画などの活用によってIMADRに関する情報やマイノリティ・コミュニティの情報を発信し、広げていく。グローバル化する世界のなかで、IMADRは各国のマイノリティとの連帯を生み出しながら、国連の人権委員会とつながり、国際人権の潮流を国内のマイノリティの活動に生かしていく役割を継続して担っていく。

 

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