「解放新聞」(2019.06.03-2909)
組坂委員長と西島書記長、吉岡書記次長は5月21日、東京・衆議院議員第一議員会館で、日本維新の会の馬場伸幸・幹事長に面会。同党の松井一郎・代表宛の抗議文「長谷川豊・参議院比例区候補者の部落差別発言に対する抗議について」を提出し、党としての早急な対応を求めた。
問題の発言は、今夏の参院選比例区の同党公認の長谷川豊・候補(元フジテレビアナウンサー)が今年2月に都内で講演し、「穢多・非人」を人間以下の存在で犯罪集団だとしたもの。インターネット上に流れ、多方面から批判されたが、ひらきなおっていた。
江戸時代の身分制度に言及し、長谷川候補は「人間以下と設定された人たちも、性欲などがあります。当然、乱暴なども働きます」と語り、「一族野盗郎党となって、十何人で、取り囲んで暴行」「相手はプロなんだから、犯罪の」などとして、その暴行から妻と子どもを守る侍が刀を振るとき、刀が届かないのが三尺だとして「女は三尺下がって歩け」も正当化した。
面談では、差別発言を厳しく批判し、同党の責任ある対応を要請した。
日本維新の会
代表 松井一郎 様
本年2月24日、東京・下北沢にある世田谷区の公共施設で行われたとされる日本維新の会・参議院選挙公認候補者である元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏の講演の映像がネット上に公開されています。下記のような悪質な部落差別発言を行ったことに対して強く抗議するとともに、公党としての対応を早急に求めるものです。
長谷川豊氏の問題発言は以下の通りです。
「日本には江戸時代にあまりよくない歴史がありました。士農工商の下に、穢多・非人、人間以下の存在がいると。でも、人間以下と設定された人たちも、性欲などがあります。当然、乱暴なども働きます。一族野盗郎党となって、十何人で、取り囲んで暴行しようとしたとき、侍は大切な妻と子どもを守るためにどうしたのか。侍はもう刀を抜くしかなかった。でも、刀を抜いたときにどうせ死ぬんです。相手はプロなんだから、犯罪の。もうぶん回すしかないんですよ。ブンブンブンブン刀ぶん回して時間稼ぎするしかないんです。どうせ死ぬんだから。でも、自分がどうせ死んだとしても、一秒でも長く時間を稼ぐから、大切な君だけはどうか生き残って欲しい。僕の命は君のものだから、僕の大切な君はかすり傷ひとつ付けないと言って(刀を)振り回したときに、一切のかすり傷が付かないのが、二尺六寸の刀が届かない三尺です。女は三尺下がって歩け、愛の言葉です」(発言ママ)
先ず長谷川氏はどういう歴史的事実・資料・根拠にもとづき、上記のような発言を行ったのか明らかにするべきと考えます。現段階で私たちが知る限りでの歴史的資料などでも上記の話の内容を裏付け資料はありません。もし長谷川氏が確固たる歴史的事実・資料・根拠にもとづかず思い込みや偏見にもとづいて、ユーチューブ等であやまった部落差別意識を拡散・ふりまいたのであればその責任は重大です。公党の責任として本人に明らかにさせるべきと考えます。
あわせて長谷川氏は何の根拠や注釈もつけずに「士農工商の下に、穢多・非人、人間以下の存在がいる」とし「穢多・非人」が暴力や犯罪集団である前提で講演を行っています。
「穢多・非人」という用語は現在の被差別部落をさす賤称語として使われ、現在においても相手をさげすみ差別する目的で使用されています。また講演では、「穢多・非人」が「性欲などがあります。当然、乱暴なども働きます」「相手はプロなんだから、犯罪の」とまるで生まれながらの犯罪集団のように語っています。このような発言は「部落は怖い」「犯罪集団の巣窟」等のステレオタイプの差別意識を助長する行為です。
この間、「人権教育・啓発推進法」や「部落差別解消推進法」が制定され、多くの人たちの努力によって部落差別を撤廃していくためのさまざまな教育・啓発がすすめられてきましたが、今回の長谷川氏の発言はこれらの努力をないがしろにすることに他なりません。
あわせて、長谷川氏は多方面からの批判に対し真摯に受け止め反省するどころか開き直って「何が差別発言だ」「ねつ造だ」と開き直っています。
長谷川氏は今回のこの発言だけでなく、人工透析患者に対する誤解や偏見を拡散する発言を繰り返し行ってきました。
日本維新の会としてこのような人物を参議院選挙の公認候補者とすること自体、政党としての責任が問われると考えますし、党としての早急な対応を求めるものです。
2019年5月21日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂 繁之
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