「解放新聞」(2019.06.17-2911)
【奈良支局】 朝鮮人が朝鮮半島から強制連行され、さらに慰安所に「慰安婦」として朝鮮人女性が連行された史実を伝える「説明板」が2014年4月18日に設置者の天理市と市教委によって撤去された。すぐさま「説明板」の再設置を求め、署名提出や集会開催などの活動をしてきた「天理・柳本飛行場跡の説明板撤去について考える会」は、日本の植民地支配の歴史を後世に伝えるために、カンパを募り、跡地の一角に設置した新しい「説明板」を4月13日に披露した。
今回の設置は、天理市の姉妹都市になっている韓国・瑞山(ソサン)市の「説明板」再設置をすすめる市民運動と連携して日韓同時設置を目標におこなわれてきた。新「説明板」は日本語とハングルが併記され、「天理飛行場跡説明板再設置を推進するソサン市民の会」代表の金湖晢(キムホチョル)さんが来日し、「7月初旬の設置に向けて準備をすすめている」と報告した。
日本軍「慰安婦」ハルモニとともに行動する統営・巨済市民の会の宋道子(ソンドジャ)さんも「記録されない歴史は記憶されない。平和のために強制連行の歴史を後世に伝えなければならない。みなさんの活動を韓国でも伝えたい」と連帯アピールをした。
天理市内では1943年秋ごろはじまった大和海軍航空隊大和基地(柳本飛行場)の建設に、2000〜3000人と推計される朝鮮人を強制連行した。「慰安婦」の史実とともに1995年8月に天理市遠田町の公園内に天理市と市教委が「説明板」を設置したが、その背景には「奈良県での朝鮮人強制連行等に関わる資料を発掘する会」の活動や同和教育運動があった。
しかし、近年の歴史修正主義の台頭で、天理市に異議を唱える意見が送られ、「市の公式見解として解される提示を行うことは適当ではない」との理由で撤去された。
新「説明板」を設置した「考える会」は、再設置運動のなかで結成された「ソサン市民とつながる天理市民の会」とともに、今後もひき続き、天理市にたいして「説明板」の再設置を求めていく方針だ。
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