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NEWS & 主張

あいつぐ差別事件〜教訓化で提起
香川

「解放新聞」(2019.07.01-2913)

 【香川支局】 県内で部落差別に関する事象が連続しておきている。

 5月7日、香川県産業技術センターに5月3日消印の1通の封書が届いた。県人権・同和政策課によると、封書はワープロ打ちで、実在するある会社のA支店長を名乗り、「本職と別に二つ程役職があり、部落関係役員及びAV販売会社役員であり、社長は広島と奈良部落の出、私は愛媛で嫁は徳島部落の出。」とし、AV1本三万円で購入を依頼するもので、さらに自社物件や他社物件について「手抜き工事で耐震不足である」と誹謗中傷する内容だった。

 翌8日、A支店に情報提供したところ、A支店長は「まったく心当たりがない」と回答。また、会社とはとくに取り引きがない学習塾7か所にも同様の封書が届いた。学習塾の責任者が内容を見てA支店に連絡をして、運営する他の塾への確認も協力した。

 A支店長は、本社に連絡するとともに、弁護士への相談と警察への被害届け提出も検討するとのことだった。

 県連は、5月11日に岡本俊晃・差別糾弾闘争本部長(書記長)が県人権・同和政策課から説明を受け、「高松法務局へ人権侵犯として提起を」と指摘をおこない、県はA支店長に同様の助言をおこなった。その結果、A支店長が被害者個人として、法務局に相談にいく予定となった。

 5月17日には、さぬき市がすすめる県外からの移住事業で、関西からの移住体験ハウスの利用申込者(女性・50代)が、担当職員から説明を受けているさいに「被差別部落はありますか」と発言。担当職員は「わからない」と回答した。担当職員と所属長が人権推進課に報告。同和対策本部長(菊池等・副市長)を中心に対応について協議し、発言の真意の確認と啓発をおこなうため、人権推進課、担当職員の所属長が女性の滞在先である体験ハウスを訪問し発言について聞き取りをおこなった。

 女性は、「過去に住んでいた場所(被差別部落)で疎外されていた。また、よそ者扱いされないか不安だった」とし、「周りの人たちと親睦、交流をしながら暮らしたいとの思いもあり発言した」と答えた。これにたいし人権推進課は「部落差別解消推進法」をはじめ、県条例、市条例を説明のうえ、あらためて「同和地区か否か、同和地区の所在地の問い合わせには、差別を助長・誘発するおそれがあるのでお答えできない」と伝えた。

 市としては今回の事案を機に対応した担当課にたいしても「差別事象等対応マニュアル」の徹底と同時に、あらゆる事案に対応できるマニュアル改正をおこなうと報告があった。

普段から心構えをと岡本本部長が語る

 岡本本部長は、「今回、発言の背景、発言者の真意などが明確になっていない」とし、「行政職員として差別的言動がある場面にあった場合、何をすべきか普段から心構えとして持ち、余裕を持って事実関係を明らかにできる力を身につけるよう今回の事案を教訓化すること」などを提起した。

 

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