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憲法改悪の策動を許さず、人権と平和の確立をめざす
政治勢力の総結集に向けて参議院選挙に勝利しよう

「解放新聞」(2019.07.01-2913)

 いよいよ7月4日公示、21日投開票で予定されている参議院選挙の本番である。

 安倍首相は、憲法改悪のための改憲勢力の議席確保とみずからの首相4選を実現するために、衆参同日選挙も視野に入れながらの政治日程をすすめてきた。しかし、日米交渉や、米国とイランの緊張緩和を「仲介」するとしたイラン訪問の失敗などによって、衆議院解散―衆参同日選挙を断念した。とくに、ゴルフや大相撲観戦など、訪日した米国のトランプ大統領への過剰な接待と、自由貿易協定(FTA)ではないとした日米交渉について、トランプ大統領から日米交渉がサービスや為替問題をふくむ「FTA」であることや、「8月にはよい発表ができるだろう」とされているように、参議院選挙前にはその合意内容を発表しないなど、参議院選挙での改憲勢力維持のために露骨な隠蔽工作をおこなっている。

 しかし、老後の生活資金について「厚生年金だけでは2000万円が不足」とした金融庁審議会の報告書をめぐっては、麻生太郎・金融担当大臣(財務大臣)が「政府のスタンスと違う」と表明、受け取らないとしたことに批判が集中している。もともとこの報告書は麻生担当大臣が諮問したものであり、厚生労働省の分析にもとづいて試算した結果である。しかも公的年金と投資制度の活用は、安倍政権の方針でもあり、批判が出ると、内容が気に入らないと受け取りを拒否するのでは、まるで忖度した内容の報告書を強制しているのも同然である。このように年金給付額を減らし続ける一方で、年金積立金を資金として株価を高騰させるために株式市場に投入している。アベノミクスが成果をあげているかのように、株価をつり上げる資金としているわけで、今回の年金問題もアベノミクスの失敗がその背景にある。

 われわれのいのちや生活を奪う安倍政権を退陣させるためにも、今回の参議院選挙は重要な闘いである。比例区、選挙区の推薦候補の必勝に向けて、全力で選挙闘争にとりくもう。

 今回の参議院選挙の比例区選挙では、部落解放中央共闘会議加盟単産の組織内候補を中心に、立憲民主党、国民民主党、社会民主党の候補を推薦し、すでに都府県連ごとの支援についても中央委員会で決定してきた。この間、それぞれの都府県連でも、各候補と連携を取りながら精力的にとりくみをすすめている。

 推薦候補は、立憲民主党の小沢まさひと(JP労組)、岸まきこ(自治労)、みずおか俊一(日教組)、もりやたかし(私鉄総連)、吉川さおり(情報労連/NTT労組)、国民民主党の大島九州男(企業団体委員長代理)、社会民主党の吉田ただとも(前党首)、仲村みお(沖縄県議)で、人権や平和、民主主義の確立と部落差別撤廃に向けた政策協定をかわしている。

 安倍首相は、衆参同日選挙の見送りに追い込まれたが、参議院選挙では改憲を争点とすることを明言している。沖縄での民意を無視した辺野古新基地建設や、護衛艦である「いずも」を改修し、憲法違反の「攻撃型空母」としてステルス戦闘機F35Bを搭載するなど、「戦争法」強行いらい、憲法改悪を先取りした「戦争をする国」づくりをすすめてきた。とくに、対外有償軍事援助(FMS)で、米国の要求通りにF35戦闘機などの高額な兵器を購入することで軍事費を大幅に増大させ、一方で社会保障費の削減や医療制度を改悪してきた。

 さらに、これまで軍事費増大の口実としてきた「北朝鮮の脅威」が、南北首脳会談や米朝首脳会談の実現などによる朝鮮半島情勢の変化で通用しなくなると、中国や韓国との領土問題などでの対立を深めることでの危機を自作自演している。しかも、米国に追従して経済制裁を続けながら、米朝会談の実現を受けて、朝鮮労働党の金正恩・委員長との無条件対話を提案しているが、日朝関係の改善もすすまず、アジアや世界のなかで孤立を深めているのが安倍外交の実態である。

 こうした安倍政権の国内外の政治の閉塞感や社会への不満が、在特会などのヘイトスピーチや社会的弱者にたいする憎悪犯罪(ヘイトクライム)として顕在化している。安倍政権は、深刻化する格差や貧困の問題を放置し、新自由主義政策のもとでの「自己責任」を強制することで、差別排外主義勢力との共存関係を強化している。われわれは、今日の安倍政権による反人権主義、国権主義の政治から、人権と平和、民主主義の確立をめざす政治の変革に向けて、参議院選挙での推薦候補の当選をかちとるために、全力をあげてとりくみをすすめなければならない。

 4月に実施された統一自治体選挙のとりくみでも、部落解放・人権政策確立に向けた自治体議員の役割が重要であることを確認し、組織内候補や推薦候補の勝利に向けてとりくみをすすめてきた。今回の参議院選挙でも、部落解放・人権政策をともにすすめる政治勢力を大きく結集するために、一人ひとりの投票行動の積み重ねが必要であることはいうまでもない。

 参議院選挙区のとりくみでは、全国32の1人区で、前回の参議院選挙と同様に、野党統一候補が実現した。選挙区での推薦候補にたいするとりくみも、比例区選挙とともに全力ですすめよう。現在、衆議院、参議院の両院で改憲勢力が3分の2以上の議席を確保している。こうした政治情勢のもとで、安倍政権の改憲策動がすすめられているのである。今回の参議院選挙でも、改憲勢力の3分の2を阻止することが求められている。「戦争をする国」づくりのために、憲法改悪をすすめる安倍政権に反対する闘いと結合して、参議院選挙のとりくみをすすめよう。

 自治体での「部落差別解消推進法」具体化に向けたとりくみとして、全国で条例づくりがすすめられている。こうした自治体段階での運動をさらに発展させながら、国の施策を前進させていかなければならない。また、法務省が実施した全国の過去5年間の差別事象の集約とその分析や、今後の部落問題に関する国民意識調査についても、各党の論議や国会質疑のなかで、その結果をしっかりと部落問題解決に向けた施策に結びつけていくことも重要である。部落解放・人権政策確立のとりくみとして、条例づくりなどの活動の成果を国政に反映させ、国の施策を充実させていくために部落解放運動と連携する政治勢力を大きくしていこう。

 政治を変える力はわれわれにある。同盟員の投票行動も部落解放運動にとっての重要な政治活動である。荒廃した政治情況を拒否し、一人ひとりの力を結集して、参議院選挙に勝利し、新たな時代を切り拓こう。

 

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