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琉球遺骨返還訴訟第3回口頭弁論 〜大阪で集会も
京都

「解放新聞」(2019.09.16-2923)

報告集会で熱弁をふるった金城実さん(8月30日・京都市)

報告集会で熱弁をふるった金城実さん(8月30日・京都市)

 【京都】 盗掘した遺骨の返還を京都大学に求めている琉球民族遺骨返還請求訴訟の第3回口頭弁論が8月30日、京都市・京都地裁でおこなわれた。原告で彫刻家の金城実さんが琉球の死生観や遺骨のあつかい、亀甲墓などについて陳述した。

 「生まれるときは潮の満ちてくるとき、死ぬときは潮が引くときでした。仏壇には、位牌が安置されています。仏壇の下は、生と死を待つ神聖なる場所であります。位牌はトートーメーといい、お月様のことです。骨つぼはティーダといい、太陽と同じ名前です」「琉球・沖縄では、洗骨の習慣があり、これもまた琉球独特の、死者・遺骨に対する思いがありました」とわかりやすく説明した。

 また、墓が「亀甲墓と言われます。この墓の形は母の子を生む体形です」「琉球・沖縄の「子宮回帰」思想」を示すことをあげ、「一家で一年の間に不幸にして二人の死者が出た時は、墓は開けられない。なぜか、母は一年で二度も子どもを生めないからです。二人目の死者は、墓の近くに仮墓を作っておく」と強調した。

 このほか、靖国神社に合祀された父親の魂が「未だ戻ってきていません」と天皇制の問題にもふれ、「遺骨返還に応じないとする京都大学は、戦前日本国家が推し進めたアジアへの植民地政策をも、正当化することになりませんか」と問いを投げかけた。

 京都弁護士会館でひらかれた報告集会には100人の参加者があった。京都大学はアイヌ民族の遺骨も保管しているが、関係者がおこなう返還要求の申し込みさえ受けとらない姿勢を貫いている報告があった。

 次回の口頭弁論は11月29日午後2時から。

遺骨は遺族に返還を大阪集会で原告訴え

 「なぜ、琉球遺骨返還訴訟を闘うのか」をテーマに8月29日、大阪市・ドーンセンターで集会がひらかれ、120人が参加。原告の金城実さん(彫刻家)らが、遺族を無視した対応を続ける京都大学を非難した。主催は琉球遺骨返還訴訟を支える会・大阪。

 原告の一人で琉球を統一した先祖の墓を荒らされ、遺骨を奪われた亀谷正子さんは、祭祀継承者の思いを語り、「先住民族と国連から認められた琉球民族であることに、誇りを持っていることを知っていただきたい」と強調し、「盗品は、持ち主に返すのが世間一般の常識」と訴えた。

 金城さんは、植民地化されてきた沖縄の歴史を紹介し、県民投票の結果さえ安倍政権に無視されるありさまに「沖縄に民主主義はない」といいきった。それとともに反省することなくひらきなおる京都大学については「恥を知れ」とのべた。

 

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