pagetop

NEWS & 主張

主張

 

「部落問題・人権問題の解決に向けた理論の深化と
実践交流をすすめ第53回愛知全研を成功させよう

「解放新聞」(2019.09.16-2923)

 8月30日に発表された2020年度概算要求では、一般会計の要求総額が約105兆円となり、2年連続で過去最大を更新した。10月の消費税増税への景気対策費は別に計上されることから、12月に閣議決定される予算案でも、昨年度予算の約101兆4564億円をこえることは確実になった。とくに軍事費の要求額は5兆3223億円と、6年連続で過去最大を更新した。防衛省は米軍と自衛隊との一体化をすすめるために、多額の武器購入を盛り込み、米国のトランプ大統領の要求どおりに、F35戦闘機の配備も継続するとしている。しかも米国に有利な条件で武器を購入する「対外有償軍事援助(FMS)」が5000億円にもなり、いっそうの米国追従が露骨になっている。

 また、他国を攻撃する米国戦闘機の発着のための護衛艦「いずも」の空母化に向けた改修費なども計上されており、憲法違反の既成事実化がすすんでいる。なお、購入される米国戦闘機F35A、F35Bとも、レーダーを避けて敵の基地を攻撃できる戦闘能力をもち、これもまた憲法違反の専守防衛を逸脱するものである。とくにこれらの戦闘機は、F35Aが今年4月に墜落、航空自衛隊の操縦士が死亡し、F35Bも米国で墜落事故をおこすなど、米国政府監査院(GAO)が重大な欠陥があると指摘している戦闘機である。

 7月の参議院選挙の秋田選挙区で争点になった地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」についても、配備反対を鮮明にした野党統一候補が勝利し、地元住民の同意を得ていないにもかかわらず、関連予算を計上している。8月の日米貿易交渉の首脳会談で、中国に輸出できなくなった飼料用トウモロコシを買わされたように、安倍首相は、トランプ大統領のいいなりである。

 人権と平和、民主主義の確立に向けた野党統一候補などの奮闘で、安倍政権は、参議院選挙で改憲発議に必要な3分の2の議席も、自民党単独過半数の議席も確保できなかった。しかし、安倍首相は日米軍事同盟強化のために、あくまでも任期中の憲法改悪に固執している。われわれは、安倍政権による改憲攻撃を阻止し、人権と平和の確立を求めるとりくみをいっそう強めていこう。

 こうした反人権主義、国権主義の政治がすすめられるなか、悪質化するインターネット上の差別情報の拡散やヘイトスピーチなどでも明らかなように、部落差別をはじめ在日コリアンや障害者、性的少数者(LGBTQ)などにたいする差別や人権侵害が蔓延している。今日、差別排外主義、反人権主義の台頭は、新自由主義政策が生み出した貧困と格差の拡大による社会への不満や不安を背景として、暴力的、差別的な言動を日常化させている。

 一方、私たちは厳しい情勢のなかで、広範な粘り強いとりくみをすすめ、「人権教育・啓発推進法」や「部落差別解消推進法」制定をかちとってきた。「部落差別解消推進法」は、部落差別の今日的な実態をふまえ、部落差別は社会悪であり、部落差別を許さない社会の創造を目的としたものである。この「部落差別解消推進法」制定を大きな契機としながら、「人権教育・啓発推進法」の活用ともあわせて、部落解放行政・人権行政を大きく前進させていかなければならない。

 さらに「部落差別解消推進法」の具体化に向けた条例制定の活動をはじめ、「障害者差別解消法」や「ヘイトスピーチ解消法」「アイヌ新法」の個別人権課題の法制定の成果や課題、性的少数者にたいする差別の実態、男女平等社会の実現に向けたとりくみなどに学び、連帯する協働した営みを積み上げて、人権の法制度確立、とくに国内人権委員会の創設を中心とした人権侵害被害救済制度の実現をかちとっていくことが求められている。

 部落解放研究第53回全国集会は、こうした部落問題・人権問題に解決に向けた研究活動や実践報告を中心に、本年10月15日から3日間、名古屋市内の名古屋国際会議場を主会場に開催される。記念行事は、中・高校生の人権を無視した校則の不当性を社会問題として提起してきた名古屋大学大学院の内田良・准教授の教育問題からみた日本社会のあり方をテーマにした講演を予定している。また、分科会では、部落解放・人権行政の推進や、人権研修・啓発の手法、今日的な差別事件の実態、包括的な人権の法制度などについての報告と討論がすすめられる。参加者のみなさんの地域や職場、教育現場などでの実践報告もふくめて、さらに分科会討論を豊富化してもらいたい。

 部落解放研究全国集会は、これまでも部落問題をはじめ、さまざまな人権問題に関わる研究や実践活動を通しての学習、交流をすすめる集会として、成果を積み上げてきた。

 今日の高度情報社会のなかにあって、遠く離れた国の小さな出来事も瞬時に私たちのもとに届くように、有益な情報とともに差別情報もまた世界中に拡散される時代が現出している。あふれんばかりのさまざまな情報から、われわれは、偽りの、そして暴力や差別を公然と主張する情報を排除する知識や技術、判断力をもたなければならない。しかもその知識や技術、判断力の基底には人権を確立するという確固たる価値観の共有が必要であることはいうまでもない。

 われわれが生きる現代社会では、第2次世界大戦の深い反省のもとに1948年の第3回国連総会で採択された「世界人権宣言」が人権と平和を希求するという人類共通の課題を明らかにしたにもかかわらず、いまだに民族や宗教対立、領土や資源問題での紛争が絶えず、貧困と差別が新たに生み出され、難民問題なども深刻になっている。また、欧州連合(EU)諸国における民族排外主義の台頭、米中貿易摩擦の激化、日韓関係の悪化など、国内外で多くの対立が生まれ、対話を基調とした解決の方向さえ見いだせない情況でもある。

 このように人権と平和、民主主義の確立という課題が後退しているなかで、部落解放運動や人権を確立するためのとりくみの役割はますます重要になっている。部落問題をはじめさまざまな差別問題・人権問題の解決に向けた研究・実践報告に学び、交流を深め、第53回愛知全研を成功させ、部落解放・人権政策確立のとりくみを大きく前進させよう。

 

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定価:1部 8頁 90円/年ぎめ1部 4320円(送料別)
送料:年 1968円(1部購読の場合。それ以外はお問い合わせください。)