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男女平等社会の実現に向けてとりくみをすすめよう

「解放新聞」(2019.10.14-2926)

 これまで、社会のなかで歴史的、文化的に男女を二分化し、それぞれに違った役割(性別役割)を与えてきた。とくに、「女性は政治家や管理職」などに向かないという固定観念などで男性主導の社会をつくり、個性を生かすチャンスを奪ってきた。男女がともに生きることができる社会をつくるためには、性差(ジェンダー)という観念を拭い去り、性差によって役割を強制されたり、生き方を制限されたりすることのない政治的社会的環境をつくらなければならない。

 日本の男女平等に向けたとりくみをみると、「男女雇用機会均等法」をはじめ「男女共同参画基本法」などが制定され、2年前には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(「女性活躍推進法」)が制定されてきた。これらの動きだけをみていると男女平等に向けたとりくみが推進されているようであるが、女性の国会議員や管理職に占める割合(男女格差指数)は依然として低いままである。政府は、これまで社会のあらゆる分野において、2020年までに国会議員や企業の管理職に女性の占める割合を30%程度にという目標をたてたが、ジェンダー・ギャップ(男女平等)指数は149か国中110位と、毎年、低順位が続いている。

 さらに、妊娠・出産にたいする職場での嫌がらせなどを受けるマタニティ・ハラスメント(マタハラ)も大きな社会問題になっている。日本の人口は年年減少し、少子高齢化社会を迎えているが、男女がともに働き続け、仕事(ワーク)と生活(ライフ)の両立(ワーク・ライフ・バランス)が可能となるような社会の実現をめざすことが必要だ。女性が出産や育児・介護においても、仕事を辞めずに働き続けることができる環境整備や、男性にも取得しやすい育児・介護休業をはじめ各種休業制度の充実と待機児童の解消などが重要な課題である。

 男女平等社会の実現に向けた運動の活性化をすすめるために、部落解放同盟では、第58回全国大会(2001年)で「男女共同参画基本方針」を採択し、男女共同参画プロジェクトの設置を決定した。その後、国内外の動向をふまえ、第65回全国大会(2008年)で、「男女共同参画基本方針」の名称や「基本方針」の内容を含めて議論し、「男女平等社会実現基本方針(改訂)」をあらためて採択した。

 さらに、男女平等社会実現に向けたとりくみを強化していくために、2015年に、男女平等社会推進本部第1回会議を開催し、「基本方針(改訂)」にある組織内目標をはじめ、課題をよりいっそう明確にしていくことを確認した。とくに、「基本方針」改訂に向けて、専門部会を設置し、具体的なとりくみ内容や、組織内目標などについて見直しの議論をすすめ、「男女平等社会実現基本方針(第2次改訂)」案をまとめ、第73回全国大会(2016年)で採択した。この「基本方針(第2次改訂)」には、自治体での条例づくりをすすめるなど具体的な6つのとりくみや、12点の組織内目標を掲げ、10年ごとに見直しをおこない、中間年での検証をおこなうこととしている。

 推進本部では、2016年に、各都府県連に女性部の結成状況や男女平等社会推進本部の設置状況などのアンケート調査を実施した。調査の結果、6都府県連ですでに男女平等社会推進本部が立ちあげられ、8都府県連で相談窓口が設置されていた。また、9都府県連で「基本方針(第2次改訂)」を使って学習会が実施されていた。

 「基本方針(第2次改訂)」の組織内目標の一つである全国大会での女性代議員3割以上の参加の実現に向けたとりくみは、都府県連の努力もあり、第71回全国大会(2014年)以降から、3割以上の女性代議員の参加目標を達成している。今後も、すべての組織内目標の達成に向けて運動を展開していかなければならない。

 2017年には、全国ブロック別支部長研修会(4〜6月)のなかで「基本方針(第2次改訂)」についての学習会を実施した。また、同年6月には、第1回男女平等社会実現をめざす学習会をおこなった。学習会では、すでに男女平等社会推進本部が設置されている東京・京都・奈良・和歌山・大阪・広島から、推進本部の体制や基本認識、具体的なとりくみなどの報告があり、その後、グループ別討議をおこなった。そのなかで男性参加者が少ない、部落女性の権利が守られていないのではないか、などの意見が出された。これらの指摘をふまえて、今後も議論を深めていかなければならない。

 昨年は全国ブロック別中央解放学校で「部落差別解消推進法」具体化の課題、狭山第3次再審の現状と展望、男女平等社会実現に向けた「基本方針(第2次改訂)」の内容とともに、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントについての学習をおこない、全体で33都府県連から553人が研修会に参加した。11月の「女性に対する暴力をなくす運動月間」には、「解放新聞中央版」に「女性に対する暴力を許さない、暴力根絶に向けた意識喚起を」との記事を掲載した。また、推進本部として、中間年において検証をおこなうとりくみをすすめていくうえで、2016年におこなった各都府県のとりくみ状況のアンケート調査を昨年8月に再度実施したが、今後は、集計をもとに具体的目標の実現に向けたとりくみをすすめていかなければならない。

 このように、推進本部では、積極的なとりくみをすすめてきたが、今後も継続したとりくみが必要である。男女平等の組織づくりに向けた課題は山積している。とくに、継続した学習会などをひらき、組織内において、何が「女性差別か」を見抜く力を育まなければならない。いまだに「家事や育児、介護は女性が担うもの」とする「母性神話」や、就学前の子どもがいる場合、母親は仕事をせずに家庭で子育てをすべきという「3歳児神話」のように、「性別役割分業」は当たり前といった意識が女性のなかにも多く存在する。男女平等の意識をつくるには、何がジェンダー(社会的文化的な性別役割・分業の固定化)なのかということに気づくことが大切である。女性自身が女性にたいする差別意識や日常生活、メディアのなかに存在するジェンダーに気づき、身近なことから制度や慣習について見直すことができるような「ジェンダーにとらわれない意識」を積極的に形成していくことが重要である。

 さらに、女性が意思決定機関に参画できるように、ポジティブアクション(積極的差別是正措置)を組織のなかに取り入れていかなければならない。部落解放同盟としていままでも中央執行委員会における女性の割合を高める努力や、全国大会や中央委員会など、政策決定機能をもつ機関会議への女性の参画に向けてとりくみをおこなってきた。一定の成果を得ることはできたが、さらに女性の参画をすすめるためには、組織の変革とさらなる同盟員の意識改革が求められている。また、今後の課題として、相談窓口の設置とそのための人材育成はじめ、障害者や性自認、性的指向の違いによるセクシャルマイノリティの課題にもとりくんでいかなければならない。

 「基本方針(第2次改訂)」のなかにある具体的な課題へのとりくみを、一つひとつ確実に積みあげていくことが必要である。差別なき人権確立社会をめざす部落解放同盟にとって、男女平等の組織づくりは喫緊の課題である。男女平等社会実現のとりくみの重要性を全同盟員で再度確認し、各都府県連で推進本部を立ちあげ、さらなるとりくみをすすめていこう。

 

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