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子どもの権利保障、人権・同和教育の輪を広げ、
三重全人教大会に結集しよう

「解放新聞」(2019.11.04-2929)

 第71回全国人権・同和教育研究大会が、11月30日〜12月1日にかけて、三重県津市・サオリーナを主会場に開催される。三重県での開催は、第61回大会いらい、10年ぶりの開催となる。

 開催地の三重県実行委員会では、今回の地元大会テーマを「人権文化を確かなものに〜29市町の組織力と取組をさらに深めて〜」として、「三重県総がかり」で全国からの参加者を迎える準備をすすめている。

 差別のない社会の実現に向けて、人権文化を確かなものとするために、全国各地の実践を持ち寄り、活発な論議と交流が展開されることが期待される。

 今年は、「子どもの権利条約」の国連採択30年、日本批准25年の節目の年となる。日本は、94年の条約批准以降、これまで4度の子どもの権利委員会による定期報告書審査を受けてきた。直近では、本年1月、第4・5回統合日本政府報告書の審査がおこなわれ、日本政府はとりくみの進捗を説明したが、2月に出された総括所見では、子どもの権利に関する包括的な法律、保護政策の策定、独立した監視機関の設置などが、これまでにひき続き強く勧告されている(第2927号「主張」参照)。

 社会の急速な変化や格差社会の進行が、弱い立場の子どもたちを襲い、貧困、虐待、いじめなど、さまざまな形で表出し社会問題化したことから、「子どもの貧困対策推進法」(2014年)が施行されるなどしたものの、子どもの権利委員会が指摘するように、日本における子どもをとりまく人権状況は、多くの課題をかかえ、解決に向けたとりくみも遅遅としたものである。

 「一億総活躍」や「女性活躍推進」など、安倍政権の当初の政策とあいまって、子どもの育ちや学びに関連する施策についても、制度の見直しや、個別の支援策が打ち出されたものもある。しかしながら、合理性や生産性など、経済や企業の論理が優先されたものであり、子どもたちの置かれた現実を的確に把握し、子どもの権利を保障するという視点は欠落している。

 ましてや、公的支援の拡充を装いながら、子どもたちの育ちと学びの場に、排除と分断、差別と選別が巧みに持ち込まれようとしているのが現実である。

 いわゆる高校無償化からの朝鮮学校の除外に続いて、幼児教育・保育の無償化からも、朝鮮学校やブラジル人学校の幼稚園など一部の就学前教育施設を不当に排除する差別政策となった。しかも、そもそもの政策課題であった待機児童の解消や保育士の待遇改善は置き去りにされたままに、富裕層に恩恵の多い格差拡大施策となった。

 排外主義を隠そうとしない政権の意向を受けたものとはいえ、道徳教育の推進やいじめ防止を掲げる文部科学省の施策としては、悲劇を通り越して、もはや喜劇ではないか。

 また、高等教育の修学支援新制度、いわゆる大学無償化も、支援対象となる学生(個人要件)や支援対象となる学校(機関要件)を厳しく制限したために、大きな問題を孕んでいる。

 まずは、新制度の対象外となる、決して裕福とはいえない多くの中間所得層は、減免措置などの支援がなくなり、負担増や修学が困難になるなど実害が生じることだ。

 つぎに、一見すると個人の自由な選択という形をとりながら、実のところ、本人の意思をこえた経済的理由によって、巧みに誘導されてしまうという深刻かつ重大な問題だ。

 つまり、新制度による手厚い経済的支援によって、従来は経済的な理由から進学を断念せざるを得なかった低所得層の修学が可能となる。しかしながら、新制度では対象となる学校が指定されているために、結果として、学問の場である大学が、貧しいながらも役に立つ人材を輩出する機関として専念するようになり、大学の自治や学問の自由を脅かすことが懸念されている。

 おりしも、現職の文部科学大臣が、経済格差による教育格差を容認する「身の丈」発言をおこなった。「教育基本法」が保障する「機会均等」に違反し、生まれながらにしての不平等や不公平を是正する公教育の役割を否定するものである。

 子どもたちや保護者のあいだに分断を持ち込み、軋轢を生じさせかねない、いっさいの差別的策動を許さず、育ちと学びを阻害する制度の改悪に断固反対するとりくみをすすめていこう。

 幸いにして、本年6月に可決成立した、改正「子どもの貧国対策推進法」では、第1条(目的)や第2条(基本理念)において、「子どもの権利条約」とその一般原則(子どもの最善の利益、意見尊重など)に言及するなど、意義のある改正がおこなわれた。

 この改正法を実効あるものとするとともに、子どもの権利保障の視点を他の施策にも広げていくとりくみをすすめていかなければならない。

 あらゆる差別を許さず、人権確立をめざす教育は、子どもたちが置かれた状況を的確につかむことからしか創造できない。

 子どもたちの最善の利益となる教育条件を保障し、反差別の教育内容を深化・発展させていくために、差別の現実から深く学ぶことを愚直に追求していこう。

 

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