「解放新聞」(2019.11.25-2932)
「全国部落調査」復刻版出版事件裁判で、今後の裁判のすすめ方を協議する非公開の第9回弁論準備(三者協議)が11月6日、東京地裁でひらかれた。
今回の三者協議では、被告鳥取ループ・示現舎が、弁護団が提出した準備書面などにたいして反論の準備書面を提出した。被告側は、昨年提出した大阪市立大学の阿久澤麻理子・教授と首都大学東京の木村草太・教授の意見書にたいして、事実誤認があるとして反論する一方、「経歴をひけらかし…」「…意見書と呼べない低質なもの…」「いわゆるタレント学者であり…有名であるから実力があり、言っていることが正しいというものではない」など、内容と関係のない人格否定ともとれる主張をおこなった。
また、被告は、弁護団が準備書面11のなかで主張した「原告らの本籍・住所地・居住する地区名などを知っている第三者の存在を前提とした場合の権利侵害性はきわめて明白である」という主張にたいして、「本籍地に特段意味はなく…」「移転の自由があること」など論点をすりかえた従来の主張をくり返した。また、弁護団が準備書面12で指摘した「被告らの行為により広範な二次被害が生じている事例(佐賀県のメルカリ事件や滋賀県のシルバー人材センター事件など)」にたいしては、「原告らが前述した程度のことしか「差別」や「被害」として挙げられないのであれば、もはや「部落差別は存在しない」と言っても過言ではない」などあきれた主張を展開した。
弁護団は、これまでの準備書面で主張してきたアウティングとカミングアウトの違いなどをあらためて裁判官に説明するとともに、新たに被告にたいする反論を書面で提出し、主張の補充をおこなうことになった。次回の弁論準備は12月26日におこなう。
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