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人事カード廃棄処分 〜滋賀、兵庫県連など確認
求められる公正採用選考

「解放新聞」(2020.02.10-2942)

 【滋賀支局】 2019年10月29日に西宮公共職業安定所(兵庫県西宮市)で、兵庫県連、滋賀県連、進保協(滋賀県進路保障推進協議会)が立ち会いのもと、A社が長年にわたって使用し続けてきた「人事カード」1093枚が廃棄処分された。

 この事案は2018年12月に滋賀県内のB高校から進保協に、A社の人事カードに問題があると提起されたもの。A社から採用の内定をもらったB高校の生徒に送られてきた書類に入っていた。本人が記入して入社日に他の書類と一緒に持参するよう記載されていた。

シュレッダーで「人事カード」を廃棄処分した(2019年10月29日・兵庫県西宮市)

シュレッダーで「人事カード」を廃棄処分した(2019年10月29日・兵庫県西宮市)

 この人事カードは、本籍地、住宅区分(持ち家・借家・公団等)、家族構成、家族の職業など「職業安定法」第5条の4に規定されている社会的差別につながる個人情報の収集そのもの。

 A社は1部上場企業で、従業員はグループ企業をふくめ2300人あまりの会社だ。人事カードは採用後の社員管理のため長年にわたり使用されてきた。

 採用選考については、近畿統一応募用紙を使用しているが、内定後であっても社会的差別につながる個人情報の収集はしてはならない。今回の「人事カード」は形を変えた身元調査といわれても弁明できないものだった。

 さらに問題なのは、長年にわたり使われ続けながら、どこからも指摘・問題化されなかったことや、A社には公正採用選考人権啓発推進員が設置されていたことだ。「名ばかり推進員」といわれても弁明はできない。

 また、企業の大学生採用選考は高校生の採用選考のような厳格なルールが存在しない。さらに採用試験を受験報告書のようなものでチェックする機関も存在しない。そこに採用試験の外注化(リクルートなどの就職請負業者に依頼)がすすんでいる。このような大学生の採用選考の実態は「ブラックボックス化」しているといわなければならない。

 高校、大学、中途採用をふくめたすべての場面での公正採用選考を求めていくとりくみが、いまこそ求められている。

 

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