「解放新聞」(2020.02.24-2944)
【京都支局】京都府連は2019年12月24日、部落解放・人権政策の確立を求める京都府総括交渉を京都市内で実施。今年1月8日には京都府、京都府教委をそれぞれ表敬訪問し、西脇隆俊・知事、橋本幸三・府教育長らと懇談した。また、京都府は、府内の市町の要望で、1月15日には西脇知事が綾部市と福知山市で、1月23日には山内修一・副知事が笠置町と宇治市で現地視察をおこなった。
京都府総括交渉には、70人が参加。ネットの差別書き込みのモニタリング、隣保館の整備、教職員対象の人権意識等に関する実態調査の報告、困っている人によりそう積極的福祉事業の展開などで、事業の説明だけではなく部落問題を解決できる回答を求め、意見交換した。府からは、山内副知事が「おたがいが地域で支えあう思いやりのある共生社会を」と語った。
1月の表敬訪問には、西島藤彦・委員長をはじめ、府連5役と地協代表者など15人が参加。西脇知事との懇談では、西島委員長は「インターネットでは部落差別が野放しだ。差別を許さないという姿勢を示すためにも条例の制定を。府議会にも協力を要請している。また、水平社100年記念大会にはぜひ出席を」と要請。西脇知事は「ネットでの人権侵害は拡散すると元に戻すことは難しい。また、安心安全の暮らしをすすめるためには、思いやりを持つことが大切だ」と語った。
橋本教育長との懇談では、部落問題研修などを要請。橋本教育長は「教員の世代交代がすすんでいる。加配教員で活躍されたOBの先生に講師を頼んだり、現地で学ぶ研修が求められている。年末に実施した人権教育に関する意識調査結果をふまえ、効果のある研修をしたい」と語った。
なお、1月7日には、京都市協の宮崎茂・議長ら役員と各支部長など11人が京都市を表敬訪問し、全水創立100年への協力も要請。村上圭子・副市長は「まちづくりは人権尊重のためにも重要。全水100年に向けてさまざまな協力をしていきたい」と語った。
綾部市と福知山市への西脇知事の現地視察には、当該の市長、行政関係者、地域の代表者と、西島委員長をはじめ府連・地協の役員が参加した。
綾部市では、通学路整備や緊急輸送道路改良など、防災・安全対策として計画されているバイパス整備箇所を視察。地元の自治会から、一日も早い事業の完成が要望された。
福知山市では、老朽化した府営・市営住宅の統合による建替予定地を視察。地元のまちづくり実行委員会から、余剰地を活用した、複合的な人権・福祉の施設の整備が要望された。
西脇知事は「地域と連携しながら、予算を最大限活用して事業進捗をはかる。市の事業にたいしても工夫しながら、できるかぎり協力したい」と語った。
笠置町と宇治市への山内副知事の現地視察には、それぞれ当該の町長・市長、行政関係者、地域の代表者と、府連の西島委員長、吉田寿・書記次長らが参加した。
笠置町では、一昨年の台風21号で被災した急傾斜地を視察。地元の山本幸男・支部長は「倒木整理は業者にしてもらったが、斜面の傷みがひどい。警報のたびに避難を余儀なくされている。土石流が心配で、早急な対策を」と要請。山内副知事は「調査の必要がある。どんな方法で対策するか、庁内で建設交通部と連携をはかり検討する」と語った。
宇治市では、老朽化した市営住宅、土砂災害警戒区域を視察。地元の原田眞智子・支部長は「40年前に市営住宅が建てられたが、老朽化して空き家が目立ち、まちづくりの観点で問題がある。急勾配で高齢の方には往来がたいへんで、生活の支障になっている。急傾斜地崩壊危険区域にも指定され、警報が出たときには、市が土砂災害や倒木のパトロールをしている」など説明。山内副知事は「まちづくりの新たな課題が現地を見ることでわかった。開発や整備をどこが担ったか整理して、府としてできることをやっていきたい」と語った。
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