「解放新聞」(2020.05.05-2952)
【京都支局】 府連女性部の代表6人は2月4日。熊本県合志(こうし)市にある国立ハンセン病療養所菊池恵楓園を訪問した。
園内の社会交流会館でハンセン病に関するDVDを視聴後、展示室で学芸員から説明を受けた。
1909年に九州療養所として発足。41年に菊池恵楓園と改称。53年に「らい予防法」が施行されると敷地、病床とも拡大し、入所者の数は多いときには1700人をこえたという。現在は男性70人、女性103人。平均年齢は84・5歳だ。
理不尽な世に苦しみながらも入所者らはこの地で、みずからの人生を回復させてきた。それは決してあきらめたものではなかったことは、彼らが生み出した数かずの文芸や絵画作品、生活の営みの記録に示されていた。
恵楓園では、過去に病者の児童が地元の小学校への通学を拒否された龍田寮事件や、病者とされた男性に死刑が執行された菊池えん罪事件がおこっている。
「らい予防法」廃止後も、温泉入浴拒否事件や、心ない誹謗中傷の発言など、嫌がらせは後を絶たない。昨年、「ハンセン病元患者家族にたいする補償法」が成立した。しかしながら名乗りをあげられないなど、課題は依然として残されている。
ハンセン病問題は、国の強制隔離が生み出した差別や偏見にもとづく国民的課題だ。私たちの内なる優生思想が鎖となり、いまなお元患者とその家族を苦しめていることを肝に銘じたい。
ハンセン病問題は解決などしていない。90年という長きにわたる強制隔離が残した爪痕は深く、私たちに静かにその向き合い方を問いかけている。
府連女性部は6月20日の女性部定期大会で「ハンセン病」をテーマに菊池恵楓園訪問の報告・学習会を予定している。
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