「解放新聞」(2020.05.15-2953)
【愛知支局】 部落解放東海ブロック共闘連絡会議は2019年12月19日、第4回定期総会と研修会を愛知県津島市南文化センターでひらき、愛知、岐阜、三重の共闘会議から60人が参加した。定期総会後の研修会では、津島支部のとりくみの報告を受け、津島市内をフィールドワークした。
主催者あいさつで、豊田弘・議長(愛知県共闘会議)は「東海ブロックの役割は各県での活動・情報を共有するなか問題意識を深め、各県の活動に活かすことが一番重要。3県のスケールメリットを活かした活動を模索してきた」と語り、「三重、岐阜の議長にも参加していただき、タイのスラムを視察した」と報告。「1%の人が富の3分の2を占める格差社会の国であり、バンコクと周辺のスラムには約200万人、バンコク市民の5分の1が住み、タイの格差社会、貧困の象徴だといわれている。プラティープ財団、少女のための生きなおしの学校も訪問したが、教育こそがスラムを変える原点というプラティープさんの理念は、部落解放運動の原点とも一致している」と紹介した。また、「情報をネットで取得できる時代。思ったことをネット上に書き込め、人への思いやりが希薄になった。部落差別等の人権侵害、いじめ等の人権を無視したさまざまな書き込みがあとをたたず、さらに、その間違った情報を間違いとわからないまま信じる。新たな差別を生む風潮になっている。部落差別解消推進法は施行して3年。法律の内容が県民になかなか伝わっていない。ひき続き、各県との連携のもと、自治体での実態調査、条例制定に努力を」とよびかけた。中央共闘会議からは、則松佳子・事務局長が来賓あいさつした。
2020年度活動方針は、吉川秀治・副議長(三重県共闘議長)が提案。諸提案を拍手で採択した。
研修会では、津島支部の木村智衆・支部長(愛知県連副委員長)が、今日までの体験を熱く報告した。若いころからの労働運動への参画や当時の部落差別の実態、県議会で部落差別解消を訴え続けた名古屋市西区選出の吉岡よしき・議員から、津島市議会の高橋栄一・議員を紹介され、部落差別のない世の中にしなければ、と考えるようになったこと、学習会を重ねて津島支部を結成したこと。「津島市人権が尊重されるまちづくり条例」(18年4月1日施行)は、差別ハガキ事件をきっかけに市長が決意を固めるなか、条例検討委に参加し、とりくんできたことなどを報告した。
フィールドワークでは、津島市の南文化センターで、保存している石取祭の天幕や、雪駄づくりに励んだ木村輝夫さん(2020号「ムラじまん・支部じまん」参照)と『橋のない川』作者の住井すゑさんとの往復書簡、雪駄の実物や雪駄の製造工程など、展示物の説明を受けた。いまも大切に残されている雪駄の工場でも話を聞いた。石取祭の太鼓と鐘を保存してある建物も訪れた。石取祭は10月に津島秋祭りとして実施されており、石取祭車は3輪の御所車形式で、「大正」年間に桑名から購入したもの。すばらしい天幕、彫刻、蒔絵などが施されていた。
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