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第47回部落解放文学賞に作品を送ろう

「解放新聞」(2020.07.15-2959)

 1974年の創設いらい、反差別と人権確立の拡大をめざす部落解放文学賞は、現在、第47回の作品募集がはじまっている。昨年の第46回には、識字部門19編、記録・表現部門5編、詩部門60編、小説部門6編、児童文学部門4編、戯曲部門4編、評論部門4編、総数102編の作品応募があった。今年、各部門で第一次選考会、最終選考会をおこない、入選4編、佳作8編が決定され、表彰式が7月18日におこなわれる。

 昨年(第45回)の表彰式では鎌田慧・代表から、大衆運動のなかの文学賞が減り、文化運動が弱くなってきていることが、いまの社会状況にあらわれているなか、部落解放文学賞の存在意義は大きく、今後も発展していかなければならないと力強いあいさつを受けた。

 新型コロナウイルスが、世界的に感染拡大するなか、外出禁止の措置をとったイギリスでは、医療や介護に従事するすべての人びととイギリスの国民保健サービス(NHS)にたいする感謝の気持ちを込めて、一斉に拍手を送るキャンペーンをおこなった。同時に、ロンドンを象徴する観光スポットにも国民保健サービスのシンボルカラーである青色が照らされた。その後、世界各地で医療従事者への感謝と敬意をあらわすさまざまなとりくみへと広がりを見せた。しかし一方で、感染者や濃厚接触者、医療従事者やその家族、運送業者、特定の民族などにたいする誹謗中傷や忌避、差別的な対応が多発している。

 日本でも、いのちや生活を守るための十分な補償もないまま、雇用の悪化をはじめ、日常生活や将来への不安・不満などから児童虐待やDV、差別や偏見、忌避といった言動がおきている。このような状況でも、安倍政権は、任期中の憲法改悪に固執し、「戦争をする国」づくりへと着着と準備をすすめている。いまこそ、部落差別をはじめ、あらゆる差別の撤廃に向け、反戦・平和と反差別・人権確立の立場から創作に励む人びとが集う部落解放文学賞の重要性は高まっている。

 また、原・厳島鑑定は、狭山事件の予備知識のない大学生がお勝手内に置かれたものを探す心理学実験をおこない、12人全員が30分以内にカモイのうえに置かれた万年筆を発見した実験結果をふまえて、複数の警察官による2度にわたる家宅捜索でカモイの万年筆が発見されなかったのは不合理であると指摘したものだ。

 裁判所は、これら下山第2鑑定、原・厳島鑑定などの新証拠、自白自体の不自然さを総合的に評価し、再審を開始すべきだ。

 文学は、高い教育を受けた者の特別なものではなく、生活と密着した生活感あふれるもの、そして差別を受けてきた歴史や事実を語るものであり、そのなかを懸命に生き抜いてきたことを語ることで人間の尊厳を照らすものである、という考えのもとに部落解放文学賞は発足した。生い立ちや日常生活のなかにある差別を捉え返すことで、自分の生き方が大きく変わる。差別に満ちた社会の変革のために、自己の変革をとげてゆく姿は部落解放運動の原点といえる。

 これまで、反差別・人権確立を掲げてきた部落解放文学賞だからこそ生み出された作品も多くある。今年も10月末締め切り(10月31日消印有効)で、第47回部落解放文学賞への作品を募集している。これまで同様、あらゆる差別をはじめ、それぞれの視点から苦しみ、喜び、命の尊さ、人権・平和への思いや願いをつづった作品を期待したい。

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