「解放新聞」(2020.09.25-2966)
【大阪支局】 府連は大阪府との基本交渉を8月6日、大阪市・大阪国民会館でおこない、SNSなどネット上での人権侵害、鳥取ループ・示現舎の「部落探訪」へのとりくみ、今年度実施される府民意識調査の項目などについて府の回答を求めた。とくにネット上での人権侵害については、「同和地区の所在地情報をネットに流布させる行為は許されない。閲覧を困難にする手法やプロバイダが削除しやすくする法整備を国に提案していく」と回答した。
大阪府からは、山口信彦・副知事、岡本圭司・府民文化部長はじめ幹部、府連からは赤井隆史・委員長はじめ執行部と各支部代表が出席。府内市町村の担当者らは別会場でのネット中継で傍聴した。
山口副知事は「新型コロナウイルスの感染が現在、拡大傾向にあるが、ひき続き防止に向けたご協力をお願いしたい。同和問題をはじめさまざまな人権問題に長きにわたりとりくんできたみなさんのご意見をいただけることは貴重な機会」とあいさつ。
赤井委員長は「コロナ差別やSNS上での誹謗中傷が大きな問題となっており、どんな規制をかけていくのかが課題となっている。表現の自由を守りながら人権を発展させていく難しい壁を越えていかねばならない。府としてどんな発信をし、国に何を求めていくのか。一助となるやりとりをお願いしたい」と強調した。
村井康利・書記長が要求項目の趣旨を説明し回答を求めた。
おもな回答は、つぎのとおり。
▽鳥取ループ・示現舎は府の区域内で土地取引に関連する調査をおこなっていると確認できず、条例にもとづき指導をおこなうことは困難。具体的で効果的な方策を国に提案する▽今年度実施する「府民意識調査」では部落差別解消推進法の施行など、この5年間の新たな動きをふまえた項目を追加する。経年比較については、ひき続き検討する▽「基本方針」の変更については、人権施策推進審議会に先月諮問。「府民意識調査」の結果もふまえながら検討をすすめる▽教育分野で差別事象があいついだことを重く受けとめる。通知文書をふくめ指導・助言の方策を検討する。
回答を受け、府連は、あらためて問題を提起。とくにネット上の差別解消に向けて▽ネット規制、差別の認定など人権の「大阪モデル」ともいえるとりくみ▽市町村と連携してモニタリングの実施▽新たな条例の検討・改正などを求めた。
山口副知事は「府の手立てを使って何かできないのかと議論はしているが、一府県のとりくみは限界がある。削除しやすい環境、見られないような仕組みとともに何が人権侵害なのかしっかり認定する機関の両方をつくらねばならない。知事みずから法務省、総務省に働きかけるとりくみをさせていただきたい」などとのべた。
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