「解放新聞」(2020.11.25-2972)
【北陸支局】 福井県連は10月21日午後、小浜市の若狭図書学習センターで福井県交渉をおこなった。コロナ禍のなか、参加者を絞り、池田、髙橋、安田の各中執、福井県連の山下敬太郎・委員長をはじめ20人が参加。県は、健康福祉部長、学校教育監、地域福祉課長らが出席した。「部落差別解消推進法」具体化、「県条例」改正と市町「条例」制定、全市町でのモニタリング体制整備、教職員の部落問題に関する意識調査、公正採用問題、市町の本人通知制度導入状況、15年実施の人権意識調査の結果分析、新たな意識調査の実施などで意見交換した。
「推進法」については、市町で具体化がすすんでおらず、県と市町で組織する人権教育・啓発連絡協議会が機能していないのでは、と指摘。「市町によっては若干、マンネリ化している面もある」「嶺北地域では部落問題に特化した講演会等は開催されていない」などの回答があり、「県全体の課題、嶺南・嶺北の課題がある。県として嶺北の課題を整理していないのではないか。課題の整理が必要」と求めた。
「県条例」改正については「人権課題の変化に迅速に対応するため、県条例にもとづく人権施策基本方針を毎年見直す方針。条例改正は考えていない」と回答。同盟は「条例に人権3法を位置づけることを考えてほしい」と求め、県は「条例改正は課題だと思う」としながらも、「いまは基本方針の見直しで」との回答にとどまった。
市町の「人権条例」制定については高浜町だけの現状。同盟は「市長会や町長会で理解を求める必要がある」「県がリーダーシップを発揮し学習会を積みあげる方法もある」と提案、県は「重要な提案」とした。
モニタリング体制の整備では、県は「昨年6月からモニタリングを実施し、これまでに18件削除要請している。市町では昨年9月から高浜町が実施している。ほかの市町には機会をとらえて説明し実施をうながす」と回答した。
教職員の意識調査については「今年度から、研修後に、講義や校種別グループ協議で学んだことや、自校の人権教育への活用について記入してもらい、管理職の部落差別問題への意識を把握している。今後は、初任者対象の人権意識調査を次年度以降の実施に向けて検討したい」とした。
公正採用問題では、19年度の受験報告書の集計結果で、不適正事象は34事業所(うち、県外事業所3。前年度33事業所)で40件(前年度35件)。40件のうち不採用は4件。公正採用選考人権啓発推進員制度の認識がなかった事業所や違反をくり返す事業所があると労働局から報告を受けている、と報告。推進員は100人以上の事業所で99・8%、30〜99人事業所で84・9%で設置、と報告した。また、「企業向けの啓発用リーフレットに過去3年間の違反事例を示している。企業に働きかけを強めたい」とした。
本人通知制度は、おおい町と高浜町で導入されており、美浜町と小浜市で導入を検討中と報告。早期導入へ働きかけたい、とした。
昨年分析の不十分さを指摘した人権意識調査(15年)の結果については、県は、補足した分析結果を説明し、今後の施策に反映したい、と回答。「同和問題を知らない人は全体で約2割。年齢別では20代が29・5%でもっとも高く、年齢が上がるにつれ割合が低い。地域別では嶺北地域の全地域で20%をこえ、嶺南地域の4・6%と大きな差がある」とし、嶺北地方での周知や研修機会を増やしていく、とした。
部落の人との結婚では「結婚に反対したり、結婚をあきらめようとする人が2割いる。反対する人は、年齢別では20代がもっとも低く13・4%。50代がもっとも高く24・8%」とし、研修・広報を充実する、などと語った。
意識調査については「定期的に調査が必要。次回は2022年度を考えている」と回答した。
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