「解放新聞」(2020.12.25-2975)
【奈良】 「神山と、御陵との間に、新平民の一団を住はせるのが、不都合此上なきに、…神山の一部を埋葬地となすは、事ここに到りて言語道断なり。」(後藤秀穂『皇陵史稿』1913年)
天皇制の権威を強めるため、「神山」とされる畝傍(うねび)山の中腹に位置していた洞村(ほらむら)が、現在の地に強制的に移転させられて今年100年を迎えた。これを記念して大久保支部は12月6日、奈良県橿原市内で「洞村「強制」移転100周年の集い」を開催。支部役員や同町・近隣自治会役員、行政・教育関係者、関係団体代表ら78人が出席した。
集いではオープニングとして、おおくぼまちづくり館の啓発ビデオ「恐懼(きょうく)に堪えざることに抗して」、「下駄表づくり」、「手縫いの靴づくり」が上映され、洞村「強制」移転の経過やムラの人びとが担ってきた仕事についてふり返った。
つづいて、主催者を代表し加護善三・大久保支部長が、参加者をはじめ記念誌発刊などへの協力者に謝辞をのべながらあいさつし、「「両側から超える」部落解放運動の実践を、自治会とともに具現化することが大事だと考える。人間の尊厳が大切にされる社会の実現をめざし、支部一丸となり邁進していきたい」と決意を語った。
来賓紹介後、亀田忠彦・橿原市長、槇尾幸雄・市議会議長、山本進章・県議会議長、川口正志・奈良ヒューライツ議員団議長(県連執行委員長)が、それぞれあいさつ。川口議長は「移転にかかわった先人たちの思い、魂を追跡していくこと、歴史を未来につなぎ合わせることが大事だと思う」「この集いを起点にお互いが手を携え合う、助け合う、よい世の中につなげてほしい」とのべた。
その後、山本信彦・橿原市社会教育指導員が、「洞村『強制』移転」をテーマに古地図や航空写真など豊富な資料をもとにプレゼンテーションし、洞村がどのような村であったのか、また、周辺地域もふくめ移転がどのようにすすめられていったのかを説明した。
辻本正教・同支部顧問(元県連副委員長)の閉会あいさつで終了した。
大久保支部は今回の集いに先立ち午前中に、地域にある浄土真宗本願寺派教宗寺で支部「先輩を偲ぶ集い」をひらいた。部落解放とムラづくりに尽力し、志半ばで亡くなった池本高美・前支部長、大中正樹・前総代ら多くの諸先輩を偲び、遺志を受け継ぎ運動にまい進することを誓い合った。
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